甲州の伝家の「ほうとう」を学びに山梨県へ出掛けてきました

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「ほうとう」は甲府盆地にて主に食される郷土料理で、太めの麺をカボチャなどの野菜と一緒に味噌煮したものです。今回はその「ほうとう」の作り方を習いに山梨県まで家族で行って参りました(≧▽≦)ゞ お恥ずかし話しですが、ほうとうは山梨県の観光食として何度も食べているもウドンの味噌鍋程度の認識しかなく、今回の旅行でその違いをやっと認識したのでした。そのあたりの事より書き始めたいと思います。

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山梨県は富士山、赤石山脈、八ヶ岳、秩父山地と2千メートルを超える山脈に囲まれた内陸県で、旧国名・甲斐が山間の狭間を意味する峡(かい)より転じたとも言われる通りに山多く平地の少ない地です。年間の降水量は少なく、農家一戸当たりの耕作面積は全国平均の3割程しかありません。そのような稲作に適さない土地の為か、山梨には米や蕎麦/うどんが普及する前のカタチの食事の流れを汲む「ほうとう」が伝統食として残ったのでした。

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うどんは出し汁を前提とした調理方法で、生麺を単体で先ず茹でます。一方ほうとうは麦を練った生麺を野菜や肉と一緒に煮込むところに違いがあります。煮込み小麦粉麺(ほうとう原型)は鎌倉時代に中国へ留学した僧よりもたらされた饂飩/ウドンよりも歴史が長く、古くは奈良時代に中国大陸より伝わったといわれております。うどんの伝播後には「ほうとう」は片隅に追いやられてしまうも、収穫の少ない土地を主に近世まで継承されてきました。

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明治以降は山梨県東部を主として養蚕が一大産業と発達し、養蚕農家の家屋は現在でも山梨県全域に多数見ることができます。コメよりも桑を育て、その裏作として小麦を育ても「ほうとう」が郷土料理となった原因のひとつだと思われます。コメをあまり食べられなかったために小麦粉文化が残り、その小麦粉も少ない量でお腹を満たる野菜入りの「ほうとう」が山梨の伝統食として残ったのでした。

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ほうとうはウドンと違い塩を加えません。塩を加えないと“こし”は生まれず、麺から溶け出る澱粉によるとろみが独特の風味につながります。一番初めは麺作りよりスタートしました。ぬるま湯を徐々に加えながら指先で中力粉全体を先ず混ぜていきます。その後は少し硬めに捏ねながらひとつに纏めていきます。うちの息子が手を貸したのは此の作業だけで、いつの間にかやらトンズラしていました。

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先生からは耳たぶより少し硬い感じでとの指示に従い、中力粉10に水3ほどで作った「ほうとう玉」。現代の讃岐うどんは全粒粉ではなく、オーストラリア産小麦ASWの胚乳だけで作っているので"寝かし"が求められていますが、ほうとうは昔のうどんと同じで寝かし不要の「朝捏ね即打ち」です。完成した「ほうとう玉」はボールに入れて暫くの間だけ保管。

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鍋に入れる野菜を準備していきます。ほうとうは家庭の数だけレシピがあると言われていますが、カボチャと油揚げは絶対欠かせないものだそうです。特にカボチャが重要で、味噌鍋に溶かして味を出汁に染み込ませるカボチャと?食べる為のカボチャに初めから分けるのがコツだとか...。

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ダシは煮干(カツオは邪道らしい)、味噌は米麹と麦麹をミックスした甲州味噌。関東では広く米麹が主に用いられていますが、稲作に不適だった甲州では土地柄を反映した味噌となり、これが「ほうとう」の味の決め手となっています。人参、舞茸、長葱とバンバン投入します!!

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野菜を鍋で茹でる間に麺作りを進めます。打ち粉をした後に麺棒を用いてほうとう玉を拡げていき、全体が同じ5ミリ程の厚みになるようにエイヤ、エイヤと伸ばしていきます。再び全体に打ち粉をして折り畳み、麺同士が引っ付かない様に気を付けながら1センチ幅ぐらいでドンドン切断。

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打ち粉は振り払わず、付いた状態のままで鍋に麺を投入。麺が絡まらないようにと1本、1本注意しながら投入しました。野菜の角が取れたら味噌を投入との指示を無視して既に味噌が投入されています(^_^;)。ここでカボチャ/味噌を加えると甲州名物「ほうとう」に、カボチャ抜き/醤油+昆布にすると武州ほうとうに成る分かれ道に変身です。

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味噌を先に入れてしまうと麺が柔らかくならないとの事でしたが、蓋を閉めて10分程で完成しました。カボチャを溶かすよう薄切りしたり、ネギを完成直前に入れたりした方が良いと思い付く事はあれど、体験なので工夫は自宅で作る時にすべしという事でできあがり!! 鍋料理なので沢山煮込んで、皆で手間をかける方が美味しいのですが、我が家の"ほうとう"息子はドコに行ったんだ??

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麺からのとろみとカボチャの甘み。独特の歯応えの麺は幅広で汁と絡みにくいものの、それを補うかの濃い目の味噌味がちょうど良いです。完成したばかしの鍋を個別のお椀に分け、アツアツ言いながら家族4人で美味しく頂きました。基礎さえいちど覚えてしまえばコッチのものと言うことで、甲州名物「ほうとう」はこの日より我が家の献立に加わったのでした。

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