うさぎ島(大久野島)にて戯れる子供達とチラつく島の歴史の重さ

f:id:tmja:20191011111617j:plain

広島県にある通称「うさぎ島」こと大久野島に、家族で泊まりで行って参りました。一番最初に書いておこうと思うのですが、今回は家族旅行なので戦前の毒ガス生産工場で製造された黄色の糜爛剤や茶色の血液剤などの話しはあまり出てきません(機会があれば書こうと思います)。高さ226メートルと国内一高い鉄塔がやけに目立つ島にやって来たのでした。

f:id:tmja:20200131120606j:plain

f:id:tmja:20191011111613j:plain

うさぎ島こと大久野島(おおくのしま)は愛媛県・大三島と本州側の広島県竹原市の間に浮かぶ小さな島で、本州側の忠海港と大三島の盛港結ぶカーフェリーが1日5便づつ出ております。自分達は盛港の広い駐車場にクルマを停め、途中のスーパーで購入したキャベツ2玉と人参4本に加えて、フェリーの切符売場で購入した兎の餌1袋をスーツケースに載せて船に乗り込んだのでした。10年前までは野良で生きていた兎達に餌付けをするとは...という声が潮風に乗って聞こえてきそうですが、子供の笑顔と笑い声には勝てないというやつです。

f:id:tmja:20191011111537j:plain

大久野島のうさぎ達は"地元の小学校"と紹介される島外の小学校が飼育していた8羽が1971年に放たれ、野生化したという説が最も広く流布されているようです。小さな離島のなかで700羽とも1,000羽とも推定される兎島は、うさぎ達にとっては餌争いの厳しい修羅の国であろうと勝手に想像していましたが、船を降りて目に映ったのは“きれいな”兎達でした。

f:id:tmja:20191011111523j:plain

f:id:tmja:20191011111657j:plain

風光明媚な瀬戸内海に浮かぶ大久野島には休暇村・大久野島で働く人以外に”住民”はいません。毒ガス工場だった経緯と戦後の海上投機や地中埋蔵等による近寄るべからずな島となったのでした。海底送水管敷設の事前調査時に毒ガス兵器が発見により建設中止され、発見された23缶のうち2缶は赤缶(くしゃみ性毒ガス)らしいとの解析結果も正式に出ています。平成七年に行われた環境省による調査では、ヒ素等の土壌汚染が確認されて井戸水の使用禁止に。休暇村の飲料水は本土から輸送されているとの事ですが、そんな物をフェリーから積み下ろしは港ではなかった様な気が...

f:id:tmja:20191011111520j:plain

f:id:tmja:20191011111625j:plain

道路上で餌をやると、道路で餌を待つ癖がついてしまいクルマに轢かれてしまうらしいので、子供達に理由を説明した上で注意をしてエサと共に放ちました。うさぎは薄明薄暮性なので自分達が到着した夕方前あたりになると、日中の強い日差しで休んだうさぎ達が突進して来るかのように集まってきす。ほぼ1玉を勢いで配る気前の良い息子と、1玉を明日の分まで分けて計画的に配る娘といった具合。

f:id:tmja:20191011111623j:plain

f:id:tmja:20191011111710j:plain

自分達がこの日に予約したのは休暇村のコンクリート製の立派な4階建ての建物の部屋ではなく、うさぎ達を更に身近に感じられるキャンプにしたのでした。キャンプ場入口には網で作った侵入防止壁があり、建前上はうさぎがキャンプ場に入れない仕組みになっています。ただし、↓下の動画にも映っている通りに、うさぎ達の出入りは黙認されている状態で自由となっていました。このあたりの建前と本音は、うさぎにアレコレしないでと建前で言いつつも、しっかりと兎達を宣伝で全面に出している休暇村と共通する特徴に思えました。

f:id:tmja:20191011111517j:plain

f:id:tmja:20191011111512j:plain

夕暮れ前のキャンプ場内部と、この日にお世話になったキャンプ道具一式です。テントは小川テントの八角錐モノポール型。自分達で立ち上げをしなくてはならないので、慣れないテントだと30分~1時間は必要だなと考えていたのですが、ホテル受付で指示されたキャンプ番号を見ると既に立派なテントが出来ていました。これは運が良い\(^▽^)/バンザイ

f:id:tmja:20191011111634j:plain

f:id:tmja:20191011111630j:plain

オガワ・ピルツの8人用の内部の様子です。グランドシートもきっちり敷かれており、親子四人でゴロ寝するのには十分すぎる広さでした。オガワテント(キャンパル・ジャパン)は奥州市に工場を設立したり、奄美の日本マグロ資源研究所株式会社の支援を得たりと色々な経緯があったようですが、東日本大震災が起きた年の10月に1度破産してしまっております。トカゲが尻尾切りをしても生き延びるが如く、オガワブランドは生命力の強いブランドで、今年1月に5店舗目となる直営ショップを横浜オープンしていたりします...

f:id:tmja:20191011111653j:plain

平成七年の環境省調査により島の広範囲に渡り土壌汚染が確認(休暇村前庭も含む)され、井戸の使用は禁止されるも日常には"直ちに影響はない"との事。ホテルの飲料/風呂/プールは運搬されたものと事前情報を得ていたのでしたが、100室あるホテルの使用量を本土からの海中パイプなしで賄えるのかと疑問を持ちながら来島していたのでした。風呂場に温泉とあったのを見て、「極薄めヒ素風呂かぁ」と思いました。自分が使っていた日本画の岩絵具も赤は水銀、黄色はヒ素の硫化物で爪指の間に入るしなぁと思いつつ息子とどっぷり入浴。

f:id:tmja:20191011111701j:plain

お風呂上がりの夕食です。"地元の契約農家が育てた有機野菜"や新鮮な魚介類のビュッフェです。島内には耕作地は一切ないので、地元は竹原市という事でしょうかね..。環境省調査時に方針転換する機会があったのでしょうが、対岸の市街地まで2キロと近く、補償問題等を危惧して事勿れ主義で現状維持となったのでないかと邪推してしまいます。その後に"うさぎ島"としての脚光を浴びる事となったのは、環境省や休暇村の予想していなかった事でしょう。何かしらの事故が起きれば休暇村営業停止、うさぎへの餌やり一切禁止、遊歩道以外の立ち入り不可の平和学習の元毒ガス島へと戻る日が来るかもしれません。

f:id:tmja:20191011111704j:plain

f:id:tmja:20191011111540j:plain

ウミホタルの実演を見終えて戻った夜のキャンプ場です。テントの中にてランプを使っての兎の真似をする娘。「うさぎの鳴き声は?」と聞いてみると、困った末に娘は「ぴょんぴょん」と回答していました。灯りを全て消した後で、外からガサゴソと音が聞こえてきたので、天幕の外をこっそり覗いてみると黒い兎がガリガリやっていました。娘がキャベツ屑をテント外に意図的に置いていたらしい。キャンプ場は海に面した浜辺にあるものの、真夏の熱帯夜は海に囲まれた島でも寝苦しく、朝起きると子供達は2人とも上半身裸な裸族。

f:id:tmja:20191011111714j:plain

f:id:tmja:20191011111501j:plain

瀬戸内海の静かな日の出です。島影が重なる海は優しさを感じさせるもので、多くの人がその美しさを絶賛するのも納得の光景でした。テントの中も眩しいらしく、夜明けと共に子供達も目を覚ましていました。瀬戸内の穏やかな波音と陽が高くなるにつれ彩りをます空。海沿いの道を歩くと餌くれ兎達が我先にと突進してきます。

f:id:tmja:20191011111507j:plain

f:id:tmja:20191011111504j:plain

我が家の子供達はちいさな動物が好きで、ここでも本領を朝から発揮をしていました。夏は観光客(ごはん飲水の運び屋さん)がスズナリで訪れるので餌に困ることはないでしょうが、観光客が少なくなり、寒さの厳しい冬はどうしているのかが心配になってしまいます。餌は観光客が持ってきていますが野兎なので、秋頃に産まれた小兎が冬を越せるのはどのくらいの割合なのだろうか...

f:id:tmja:20191011111552j:plain

朝食を休暇村ホテルのレストランで頂きました。工作が一番得意な科目である娘がご飯とちりめんじゃこで兎を模っていました。子供達と妻は初めて訪れる大久野島を楽しんでいるようで良かったです。妻は大久野島にて広島県に宿泊した事となり、47都道府県全てをやっとこさ制覇を完了。子供達は初めての広島県訪問となりました。

f:id:tmja:20191011111555j:plain

食後すぐにホテルのプールに突入。営業開始と同時に入場だったのでまだ誰もいませんでした。係員さんに聞いたところ、このプールの水は海水を淡水化して用いているのだとか? 海が近くに見え、海風が感じられるプールは心地よい場所でした。息子と娘はスイミングスクールに通っていて、息子は既に両親より泳げるようになりました。早いものです。

f:id:tmja:20191011111548j:plain

プールで遊んだ後に、水色の島内バスに乗り込んで1泊のみの忙しい旅程で訪れた大久野島を離れることになりました。島の東側にある船着き場から西側にあるホテルまでの間の区域しか自分達は訪れていませんが、何処でもかしこでも兎達が近づいてきました。兎達の主要エサ確保先観光客であるとするなら、縄張り意識の強い習性をもつ兎なので、力の強いグループがこの一帯を占拠している筈です。なので、自分達の訪れていない区域や山の中にいる、その他のグループの兎達はどの様な感じなのか気になりました。

f:id:tmja:20191011111606j:plain

f:id:tmja:20191011111610j:plain

かつての毒ガス島は現在ではうさぎと平和学習の島。夏休みの観光客を大勢載せた大三島フェリーが接岸し、子供連れの家族など沢山の旅行者達が野菜等のうさぎ餌を抱えて島に降りてきます。島内には写真こそ撮りませんでしたが怪我や腫瘍を負った兎もおりました。小さな島には不釣り合いな大きさの二本も鉄塔を眺めながら、大久野島を後にしたのでした。