赤坂プリンス・クラシックハウス(旧李王家東京本邸)、妻の希望でランチ

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いつも郊外にばかし出掛ける我が家ですが、珍しく東京の高層ビル並ぶ都心部に行って参りました。訪れたのは由緒正しい洋館のレストラン。妻が美味しモノを食べたいと言うので、家族3人を連れてユルユルと再びやって来たのでした。

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場所は紀州家、尾張家、井伊家の大名屋敷から1文字づつ拝借した千代田区西部の紀尾井町。そのなかででも紀州徳川の屋敷跡で昭和58年(1983)には丹下健三氏設計の赤坂プリンスホテル(新館)が聳えていた場所です。訪れた洋館は赤坂プリンスホテルの旧館と呼ばれており、都内では赤坂プリンスホテルが閉業するまでは結婚式場として高い人気を得ていました。

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この建物は朝鮮王朝の李王家東京本邸として昭和5年(1930)に建築された由緒あるものです。李王は14世紀末より長く続く朝鮮王族の家系で、明治43年(1910)の朝鮮併合によって日本の準皇族となり、最後の皇帝・純宗の皇太子李垠殿下とその妻・梨本宮方子妃のご家族が実際にここで戦後暫く生活をされていた場所でした。

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外壁はモルタルにコテで渦模様が付けられています。中世イギリスのチューダー様式に倣った建物だそうで、「チューダー」と言う言葉耳にすると、自分がロンドン郊外ハンプトン・コートに住んでいた時に、近所にヘンリー八世の暮らしたチューダー王朝の大宮殿があったのを思い出します。

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玄関の車寄せから内部を覗くと和服の女性がおり、どうやら2階でおこなわれる結婚式の参列者のひとりの様でした。入口の敷物下のタイルも凝っており、玄関の扉の取っ手も実に重厚な意匠で惚れ惚れしてしまいます。
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玄関を通った後の"広間"と昔呼ばれた空間です。到着した時間が予約時間より早かったため、2階へと続く大階段下のスペースで結婚式に参列する人達と待つ事になりました。此処の反対側には小さなパティスリーがあり、目の色を変えて子供達が我先にと突入。洋館のすぐ横に建つ高層ビルに入るホテル、プリンス・ギャラリーの若きパティシエールが一生懸命に商品を並べる作業を邪魔していました。スミマセン。

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手の込んだ手摺、捻り柱が並ぶ階段。潰した楕円ようなチューダーアーチ窓に縦長の印象的なステンドグラス。プリンスホテル旧館時代には二階にフランス料理「トリアノン」を営業する為に李王家東京宅の時代から大きく手が入っており、二階よりも一階の方が当時の面影が強く残っていると言われています。

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ソウルの王宮にて朝鮮王朝の礼装を着る李垠殿下(右から2番目)と方子妃(左から2番目)。李王家東京邸が王邸だった頃の三階には礼拝所があり、先祖を祀った神位が並んでいたそうです。その場所は現在物置になっているのだとか。

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1階北側には復刻されたバー「ナポレオン」。内部は重厚感を感じさせる隠れ家の様なバーで、フランスに因む5つの部屋や個室があります。ここのナポレオン1世の姿が描かれたお店のカードが気に入り、読書の際に用いる栞として使用中です。

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建物の南側に位置するレストラン「ラ・メゾン・キオイ」。かつては噴水のある中庭に望んだ場所で、現在でも円形ボウウインドウの大客間と併せて王邸時代の雰囲気を残す空間です。周囲のマダム達のご迷惑にならない様にと子供達のご機嫌を取りながら、急いで昼食をとる自分達夫婦。

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子供達の食後のデザート3種。先程子供達がお仕事の邪魔をするも、にこやかに対応頂いたパティシエールが登場。特別に直接給仕してくれるサプライズ演出に喜ぶ子供達。子供達は昼食のコース料理に続いて特別なオマケをまた頂いてしまい、何処に行っても優遇を受けられ正直羨ましい限り。

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娘が座っていた場所は風通しが良く、毛布を被って食事をしていました。もうすぐ小学生になる年なのでか、写真を撮ろうとすると隠れてしまったりします。息子が御手洗から暫くしても帰って来ないので様子を見に行くと、「高級トイレの高級石鹸、嬉しい(^o^)/」と呟きながら何度も手を洗っているのを発見。最近は高級xxxが好きらしく、何処に行っても値段の高いものを優先的に選ぼうとするので困っています。

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談話室もこの通りの雰囲気。優しい色調のステンドグラスが落ち着いた雰囲気の館内に彩りを添えています。秩父宮、高松宮、三笠宮の三直宮家以外が皇籍離脱を戦後にされた時に、李王家も王公族より離れ日本国籍も剥奪されました。この王邸も昭和27年(1952)に売却され、赤坂プリンスホテルへと変貌して客室数31部屋の小さなホテルとして開業。古い宿を好んで最近泊まり歩いている自分としては、開業当時のホテルに宿泊してみたいものだと思ってしました。スイートルームからシングルルームまであり、シングルルームは1泊800円だったとか。

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平成21年に施設の老築化を理由としてその赤坂プリンスホテルが廃業。同年に東京都指定有形文化財に指定。都心の一等地であるその跡地は再開発がなされ、平成28年に高さ180メートルの高層ビル「ガーデンハウス紀尾井町」と共に、旧李王家邸は「赤坂プリンス・クラシックハウス」と新しい名前で結婚式場/レストランの営業を再開。訪れた日は結婚式で着飾った女性も多く華やかで、自分達にとっては肩肘を張らず子連れでも食事が楽しめ、高級石鹸も完備した雰囲気のある食事処でした。