北は北海道から南は沖縄まで、日本全国至る所でで見られるナミアゲハ。我が家の山椒にも毎年産卵する様になり、幼虫→羽化して見送るのが恒例行事となっています。10月に入ってから街中で蝶の姿を見かける事もなくなり、我が家の蛹も残りは全て越冬かと思っていたのが、いつの間にやら羽化しているのを娘が発見。「あっ、ちょう」から「アチョー」と息子が名付けていました。
足立区にある元淵江公園にやって来ました。前日に羽化してしまったナミアゲハ、この寒さでとても生きていけないだろうと思った妻はネット検索。昆虫館等で引き取ってくれる事があると調べ、足立区生物園に電話をして持参OKを貰っていました。
雨のなか釣りをしている人達を横目に、公園東側にある足立区生物園へと向かいます。雨続きの日の週末だからか、子連れの親子を沢山目にしました。
受付カウンターに蝶と蛹の入った虫籠を子供のせると、「お電話を頂いた方ですか?」と話が進み、奥から担当と言われた女性が来られました。その女性によると、ナミアゲハはお尻部分で性別の見分けが付き、我が家のアチョーは雌だとか。
それに、蛹になり変色したものは冬眠を決めている等の専門家の説明に家族4人で聞き入ってしまいました。今回アチョーを受け取るのは特例であり、普通は受け付けないとの事です。
せっかくなのでアチョーの新居を見ようと、大人300円、子供150円(幼児以下無料)を支払い入園。実はこの日まで足立区生物園の存在をまったく知らず、足立区に昆虫、魚類、両生類、爬虫類、鳥類に哺乳類と多種多様な生き物を飼育/展示している場所があると知り驚きました。
入口ホール正面に現れる金魚の大水槽。金魚というと限られた場所で飼うものと先入観があるからか、金魚が広い空間を泳ぐ姿を見るのは新鮮に映りましす。
展示室内に見つけた「蝶の飼育室」コーナー。つい先程対応を頂いた女性を含め、4-5名の方々が黙々と作業をされています。
飼育室前にあった蛹ケースです。おそらくナミアゲハだけなのでしょうが、大小、形、色とりどりな蛹が飾られて?いました。
よく見ると、蛹になった日付と思われる数字が書き込まれているのにビックリ。
我が家の「アチョー」の新しい家になる大温室へと向かいます。
鬱蒼と茂る密林を抜けると、1階と2階が吹き抜けになっている大温室に出ました。ガラス天井なので採光が良くまるで亜熱帯の雰囲気。
餌場にオオゴマダラが5匹も! 国内では南西諸島に見られ、フワフワとゆっくりと羽ばたく姿で優雅に翔ぶ大型の蝶として有名です。
階段があり2階へ上がりると、大温室で見られる蝶の説明板が設置されていました。
2階部分も緑を沢山配した亜熱帯空間。色々な種類の蝶が間近かを飛んでおり、時たま訪問者の服に止まり羽を休ませる場面も。特にオオゴマダラ数匹によるのんびりとした舞いを見ていると、桃源郷に蝶が付き物だという理由が理解できると思ってしまいました。
コ、コノハチョウ!? 枯葉擬態で有名で、南西諸島でしか見られない蝶です。これだけ近くで見るのは初めてです。この蝶が枯葉に混ざっていたら、捜し出すのは困難だと言わざる得ません。
表の枯葉模様とは一転して、オレンジ色の見える鮮やかな裏側。羽を広げた場合は目立つ色合いなのに、なぜ片側だけ枯葉ような擬態をしているのか疑問に感じます。蝶好きな人達の気持ちが少し分かる気がしてきました…。
息子が我が家のアチョーがいると言うので目を向けると、数匹のナミアゲハが飛んでいます。
個体で識別するのは自分達でできない為、子供の言う事を信じることにしました。アチョーが温室で飛んでいます。寒い屋外では生き延びられず、このような大温室のある足立区生物園に引き取って頂けたのは幸いでした。沢山の蝶がいるので、お友達になる蝶もいるはずと子供達も納得できたはずです。