天気予報ができると言われるストームグラスを初めて自作してから4ヶ月が経ちました。前回使用した材料がまだ余っていたので再度ストームグラスを作る事にしてみました。樟脳を溶かす材料の無水エタノールは結構強烈で、自分が使用しているスマホの液晶も一部溶かした経験があり、早く使い切りたいと思っていました。
2018年1月下旬に都心でも20センチを越す大雪が降りました。 この天気ならば勢いのある結晶が見られそうだなと思い浮かんだにが、今回ストームグラスを再度作ってみようとしたキッカケでした。
前回は角瓶グラスを観賞用容器にしたので、今回は嗜好を変えて電球型ガラス容器(容量360ml)を利用します。樹脂製だとエタノールに溶かされてしまう恐れがあるので、容器のフタは金属製です。
今回のレシピは以下の通り。エタノール溶液と水溶液を別々に作る方が良いらしいのですが、自分は観賞用グラスに材料を連続投入しています。
- 樟脳: 36グラム
- エタノール: 160グラム
- 塩: 18グラム
- ひえっぺ:18グラム
- 精製水: 100グラム
樟脳とエタノールをグラスに入れた直後の写真です。この時点ですでに樟脳が結晶化しているかに見えています。自分がこれまでに参照したレシピには必ずカリウムとアンモニウムが書かれていました。溶液の温度の上下により樟脳が見え隠れするのであれば、カリウムやアンモニウム(とそれを溶かす水)の役目は何かと疑問に思うものの、棚に上げることにして、今回の電球形グラスの完成を先ずは目指しました。
最後に精製水を投入すると白濁した状態となりました。大雪で絶好のストームグラス鑑賞日なので、今回は湯煎→外気に触れる場所に放置までを一気呵成に結晶発生まで突き進みます。
翌朝の電球型グラス底にはビッシリと芝生のような結晶が繁っていました。これを作った日は暖房の入った室内と外気温の間で25度も温度差があったのが良かったのか、結晶化まで一晩で持っていく事ができました。ストームグラスは気温の低い冬であれば、特に苦労もなく結晶化できるようです。
ここからは実験コーナーになります。過去2回のストームグラスを作ってみて、疑問に思う2点を調べてみようと思います。
疑問点1: カリウムとアンモニウムは本当に必要か?
結晶化が目的であれば、樟脳とエタ ノールだけでも出来るのではないか。
疑問点2: 無水エタノールはお酒で代用できるか?
2回目のストームグラス作成で無水エタノールがなくなってしまったので、エタノールなしで出来ないかを試します。
これまでは樟脳を溶かすために無水エタノールを使用してきました。その代わりに今回は96度とアルコール度数が世界一高いポーランドのウォッカ「スピリタス」を使ってみます。スピリタスは本当に火の付くアルコールで、試しにマッチを近づけたところが上の写真です。火気厳禁だとよ〜く分かりました。
そのスピリタス投入は娘が手伝ってくれました。「絶対にこぼす、絶対にこぼす」 とおっかなびっくりで見守っていましたが、洋服を駄目にする事もなく無事任務完了してくれました。
今回は2種類の溶液を同時作成してみました。青蓋グラスにはカリウム/アンモニウムは入っていません。白蓋グラスはいつも通りの材料使用で無水エタノールをウォッカに置き換えてみました。 上の写真は材料投入直後で、青蓋は樟脳が溶けだしている途中で、白蓋はいつもの通りに白濁した状態となっていました。それぞれのレシピはこの通り。
レシピ | 白蓋 | 青蓋 |
---|---|---|
精製水 | 65ml | 71ml |
ウォッカ | 95ml | 105ml |
樟脳 | 20g | 22g |
塩 | 10g | - |
ひえっぺ | 10g | - |
材料投入して一晩置いた状態を見てみると、青蓋は樟脳が完全に溶けて真水のように透明な状態。あまりにも澄んでいて、結晶が見られる雰囲気が微塵にも感じられませんでした。
白蓋グラスを上から覗き込むと、ビンの底に長い線状の結晶が確認できました。こちらは無水エタノールをウォッカに置き換えただけなので、ウォッカでも結晶化を見られると確認できました。なので、疑問点2は答えが出ました。
ウンともスンとも言わない青蓋(樟脳+ウォッカ+水)に限界まで樟脳を溶かす作戦に出ます。ウォッカ105ml/樟脳22gに対して、手元に残る樟脳35g全てを加えました。樟脳は7g単位で加えて溶かしていったのですがが35g追加しても簡単溶けてしまい、まだまだ追加しても溶けていってしまいそうでした。
精製水71ml+ウォッカ105ml+樟脳57gで湯煎した後のガラス容器内は、白濁したウォッカと精製水が2層になっているかのようでした。このまま翌朝まで外気に当てておけば結晶を見られる予感がします。
その翌朝はこの通り。カリウム/アンモニウムなしでも結晶化すると確認できました! 疑問点1も解決です。自分は科学に疎く、オリジナルレシピの硝酸カリウムと塩化アンモニウムがどの様な作用を及ぼすのかが理解できないのが苦しいところ。今回はネット上で自分で探した範囲でですが、カリウム/アンモニウムなしで作成したサイトがなかったので記事を上げてみました。