令和元年の夏、家族4人で夏休みの旅行に高知県西部の四万十川へ遊びに行きました。現地で宿泊したには、元小学校の校舎を利用した川遊び場として有名な「泊まって遊ぶ学校 四万十楽舎」さん。四万十川は世界初となるトンボ保護区を持つ程のトンボ王国であるのを受けてか、コンクリート造りの校舎壁面には大きなトンボが描かれており、その下の四万十川と子供達が描かれた壁の端には「西土佐村立中半小学校」と書かれた木札が掛かっていました。
台風銀座で高温多湿、都市部より遠く山がちで開発に向かない土地。最後の清流との枕詞を持つ四万十川は直線化された箇所は少なく、蛇行率全国ナンバーワンの一級河川で、四万十楽舎はその全長196キロメートル河口より20キロ程遡った場所にあります。周囲の航空写真(赤〇が四万十楽舎)を見ても分かる通り、この地域は山域に流れる四万十川沿いにできた僅かな土地に人々が暮らしていた場所で、以前は地域の9割を森林が占める良質な木材の産地でしたが、現在は海外からの低価格攻勢に追いやられてしまいました。
この学校は明治十四年(1881)に2キロ下流にあった口屋内小学校(創立1874)の分校として創立。滔滔と流れる四万十川の脇に現在の校舎が建てられたのは昭和五十七年(1982)。人口減により周囲の小学校も徐々に減っていく中で、平成十年(1998)に廃校を迎えたのでした。自然体験・宿泊施設としての再スタートはその翌年4月に始まったのだそうです。
校内の様子です。階段、廊下と往時の写真や子供達の作品が飾られていました。この小学校にもかつては学校の七不思議があり、子供達がコソコソ話しをしていたのでしょう。それも廃校してから長い時期が過ぎてしまっており、「夜に段数が増える階段」も、「夜中に動く理科室の剥製」も、「音楽室の鳴り響くピアノ」も残念ながら怖がる子供達がいないのでか廃業してしまったようです。
9室ある校内の泊まれる部屋から、自分たちが予約したのは「校長室」でした。校長室とは言っても、偉そうな机や校旗が立て掛けられている訳ではなく、実際の中身は警備員さんの宿直室のようでした。全体的にくたびれ感じです。
校長室から外を眺めると駐車場として使用されている校庭があり、その向こうには緑の田んぼが2-300メートル続いているのが眺められました。カエルの大合唱。この学校から最寄り駅(7キロほど)にあたる江川崎は猛暑日本一、3日連続40度超えの記録がある程に地形的に非常に暑い場所で、四万十楽舎も同じく暑い場所でした。
中半体育館と彫られた体育館の鍵をお借りして、子供達と体育館に遊びに行ってみました。夏場はあまり使われていないのか内部はホコリっぽく、訪れた夕方でも昼間の太陽の熱気が館内に籠っていて暑く、長く遊び続けるのは困難。そくさくと撤退を余儀なくされてしまいした。
到着日の夜には宿泊者限定プログラム「鳥獣ウォッチング」に家族で参加しました。このプログラムはクルマで学校の北側にある鳥獣スポットである峠越えの山道に向かい、そこで鹿や猪、狸やフクロウ等の野生生物を発見するモノです。動物が好きな我が家の子供達にうってつけのお楽しみで、指定の集合時間に校舎入口前に行くと、参加者は我が家4人だけと分かり、嬉しい貸切ツアーとなったのでした。
夜の野生動物観察で林道へとご案内頂きました٩( ᐛ )۶ まずはウリ坊発見!! pic.twitter.com/r7MHgHOOMx
— たまパパ (@akabekosan) August 3, 2019
野生生物はクルマが来ると素早くパッと逃げ出してしまうので、見られるのは一瞬といったところなのですが、少し間抜けなウリ坊は側溝にハマっていたのでクルマ停めて写真を撮ることができました。鹿を発見した時の動画はこちら↓↓↓ 子供も大人も大満足な体験でした。
夜間の林道のご案内を頂き、うさぎ、ウリ坊、狸、鹿を発見!! 子供達は木立にライオンの尻尾を見たと力説していました pic.twitter.com/BToVRXCrew
— たまパパ (@akabekosan) August 3, 2019
動物発見ツアーより校舎に戻り、小さな湯船で疲れを落として長い1日が終わりとなりました。川沿いなので清々しい朝を迎えられるかとの淡い期待は裏切られて、朝からお日様ギラギラ。しかもラジオ体操が大音量で流れるのを耳にして起こされる、健全そのものな朝がやってきたのでした。
夏休みの思い出。元小学校の校長室泊まり、朝のラジオ体操を家族でしました pic.twitter.com/7VffIqqOGf
— たまパパ (@akabekosan) August 13, 2019
学校の給食室だった食堂で頂いた朝食はこのような感じで、ご飯、味噌汁、焼き魚、酢の物、漬物と朝食セットの定番。頼めば校舎でビールを朝から煽るという背徳感満載なコトもできるのですが、クルマの運転があるので自制しました。
窓の外には緑が映え、開放的な音楽室でポスターのバッハやベートーヴェンに見下ろされながら娘はピアノの演奏。他の宿泊者が遊びに出かけている時であれば、太竿の三味線をジャンジャラしても問題なしの環境です。学校の放送室も利用できるらしいのですが、残念ながら部屋に宿泊されている方がいるらしく覗くこともできませんでした。
ボートをレンタルして上流の岩間沈下橋を目指して四万十川を遡ったり、斜張橋の芽生大橋が架かる校舎近くで泳いだりして半日過ごしました。農村風景に突如と現れる大橋は、脚の数が少ない方がカヌー客に良いだろうとして採用されたのだとか。四万十楽舎では沢登りや釣り、黒尊川でのシュノーケルと四万十川を中心とした試してみたい外遊びプログラムが豊富ですので、是非とも再訪して遊び尽くしたいと思いました。