ドスコイ、ドスコイと相撲甚句が元相撲部屋に響く「割烹吉葉」

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親子孫の3世代で元相撲部屋にて、ちゃんこ鍋を出すお店に行って参りました。訪れたのは令和元年の師走。妻の親との食事なので、何かしらの志向を凝らして孫と一緒の食事を楽しんで貰おうと考えて、そこで選んだのが大相撲で有名な両国「國技館」からほど近い横網町にある割烹・吉葉さん。もとから人気がるお店の上に忘年会などで混み合う時期でしたが、運良く席を押さえる事ができての訪問でした。

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現在の京葉道路(国道14号線)の南にある回向院は、明暦の大火による10万人にも上る犠牲者を幕府の命令にて弔ったのを初めとして、多くの死者を埋葬してきた寺です。18世紀中葉より境内で勧進相撲(神事相撲)が興行され、明治四十二年(1909)には旧両国国技館が境内に建設。現在の国技館は老築化した旧国技館の建て替えのために、鉄道貨物駅跡地に昭和59年に建てられたものなのでした。

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その国技館から徒歩10分程にある「割烹 吉葉」さんは、43代横綱・吉葉山の名前を譲り受け、旧宮城野部屋(1980年まで使用)を利用して昭和五十八年(1983)に開業した食事処。かつては吉葉御殿とも呼ばれた立派な総檜造りの日本建築で、宮城野親方はさぞかし太いタニマチ(後援者)がおられたのだと推測される堂々たる造りの建物です。

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店内には国技館の吊り屋根に下がっている東西南北を示す房の色と同じ、青、赤、白、黒のテーブル席に囲まれた中央に土俵がありました。大相撲は神事を礎として成り立っているためか、神様を祀る神棚、その前には神様をお迎えする土俵が設置されていました。座席まで案内して頂いたお店の人によると、この土俵は毎年新しくしているのだとか。

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直径15尺(4.55m)の土俵の土は埼玉県川越市北部で採れる荒木田土。粘性が高く、大きな身体のお相撲さんがドスンとして起こる振動にも強いのだとか。用意されている接待を履いて歩いた感触も固められた土といった感じす。土俵俵も同じく埼玉県の吉川市内のものかな? と思うも聞く機会はなく。徳俵の3つの盛り塩?の意味も聞けば良かったと後から少し後悔したのでした。

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赤の円卓の脇には相撲部屋だった時に実際に使用されていた鉄砲柱が残っています。腰を落として、右足を出して、同時に柱を突く鉄砲。息子に壊れないから叩いてみなとやらせた場面が上の写真です。40kgにも満たない身体では全体重をかけても鉄砲柱はビクともしませんでした。

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吉葉さんはコース料理が基本なので、予約時に飲み物以外をお願いをしていました。一階の土俵が見られる席には空き席がない程に賑わっていたので手が足りないからか、時間がだいぶ経ってから配膳開始。土俵を型どったコースターと、トントン相撲でもするのかと最初は思った箸置きが好ましいです。このお店では津軽三味線や、寄席などの伝統芸能の催しものを定期的に開催しており、この日は相撲甚句とグランドピアノの日でした。子供達は食事はそっちのけで、箸に千円札を挟んで催し物で"おひねり"を渡す準備万端です。

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妻の親は伝統的なものが好きなので、相撲甚句の日を選んで訪問日としました。下の動画は前唄「土俵のヤ」。「砂つけ 男なる あー どすこい、どすこい」と元力士の小気味よい声が相撲部屋に響いていました。観客席からも「ドスコイ、ドスコイ」と声が飛び良い雰囲気です。「嫁は実家にすぐ帰る 娘は夜遊び朝帰るホイ 女房は化粧で若返る 」と響く「蛙唄」などの有名どころの相撲甚句を聞くことができました。画面下の赤い円卓ところチョコチョコと出ているのが娘で、おひねりを渡すタイミングを伺っています。

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土俵上で甚句が唄われている最中に、周りの人が次々とおひねりを帯に挿しに動き始めたので子供達がも突撃。お返しにと番付表を頂き記念撮影です。子供達が唯一知っている甚句は「さすが酒田は良い湊、千石万石横付けだよ、ほんまに酒田は良い湊、繁盛じゃおまへんか」の酒田甚句だけだったのですが、ドスコイドスコイで興味を持った相撲甚句の「土俵のヤ」が持ち歌に加わったのでした。

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元宮城野部屋の建物を購入してレストラン業始めたのは豊洲に本店がある大辰魚類株式会社。お店の名物・ちゃんこ吉葉鍋はその新鮮な食材を使用したものです。砲金製の鍋に鶏肉、豚肉、ホタテ、魚の切身、椎茸などが具沢山で、美味しい出汁が出ていました。この日は大相撲観戦後の食事ではなかったのですが、せっかく両国(しかも横網地区)に来ているのですから、ちゃんこ鍋を楽しまなければ野暮というもの。

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美男力士として有名だった横綱吉葉山の不知火型の土俵入りをステンドグラスにした飾り。相撲甚句の後にはステンドグラスを前にしてのピアノ演奏もありましたが、寿司のカウンター席には誰もおらず、店の隅っこにポツリと少し寂しい...

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あっという間に食事を済ませた息子と娘は、御幣が立つも神様が降りていないという事で女性も入ることができる土俵で、落ちずに綱渡り一周をしたりして遊んでいました(^O^;)≫ その綱の周囲には国技館で言うところの砂かぶり席が4つ。土俵脇の四隅の席は小学生以下利用不可ということで今回は無理でしたが、子供達が中学生にでもなったら大相撲観戦→吉葉・砂かぶり席と、相撲の愉しい風情を丸一日楽しんでみたい時に再び戻ってきたいものです。その時には子供達がもっと食べるでしょうから、同じく旧三保ヶ関部屋を食事処にした「ちゃんこ増位山」とハシゴも必要かも...