かっこいい長野、フジゲン大野工場のギター工場見学

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長野県に行って参りました。だだっ広い関東平野を走る新幹線からの車窓には上州の山々が迫り、浅間山と軽井沢をいつの間にやら通過し、あっという間に目的地である長野駅に到着。駅近くでレンタカーを借り受け、雨降る中を一路西へと向かったのでした。天候が思わしくなかったので、どうなるものかと心配をしていましたが、走行中に雨は止み、西に3,000メートル級の北アルプスが聳える盆地地帯に入っていきました。

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日本有数の山岳地帯である長野県は豊富な木材を利用した木工加工が盛んな場所です。乾燥した気候とその技術を活かして1960年代よりギター製造が開始され、現在でも多くのギター工場/工房が集中する地域となっています。今回の目的地はそのような工場のひとつである、信濃大町にあるフジゲンのギター工場。ギターを趣味でやっているオーストラリアから来た御夫婦と一緒にギター製造工場へ工場見学をしに、事前予約をしたうえで訪問したのでした。

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フジゲンは昭和三十五年(1960)にギター製造会社「富士弦楽器製造」として設立された企業で、海外ブランドのコピー商品、各種OEM事業と経てギター製造技術を磨き、月産本数で世界一になった記録もある程の楽器製造メーカーです。現在では楽器製造の木工加工にて培った技術を応用して、自動車向けのウッドパネルの生産もおこなっています。訪れた大野工場は主に楽器の製造を担っているのでした。

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 工場見学開始までにと通された”待合室”には多くのギターが展示されておりました。好きに弾いて良いと言われたので、同行者は工場見学後に色々と試していました。ちなみに、フジゲン大野工場は他社製品をOEM製品を多数手掛けているため、工場内の製造ラインの撮影は全て不可との注意がありました。建物内部で撮影可能なのは、この待合室と後で出てくるショールーム・ファクトリーハウスのみ...

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訪問するまで全く知らなかったのですが、木材乾燥の多くが北海道西興部村にある「オホーツク楽器工業」にておこなわれており、ギターのボディー部分生産も大野工場ではなく、北海道でなされているのだそうです。そのためか工場敷地の思った程大きくなく、バイオ乾燥室(シーズニング用途)、木工加工、塗装、電装、仕上げとあるギター製造工程の幾つかを案内して居ただけました。自分の興味としては原木からどうやって胴体やネック/ヘッドを加工するのかを見たかったので少し残念でしたが、木工工場内にメイプル材の匂いが漂っていたにが印象的でした。仕事柄工場視察はこれ迄も多くしているものの、ギターそのものが分からないので見どころが理解できず。半導体工場の感覚で見るならば、手作業が多いコジンマリとした町工場、伝統工芸品として見るならば自動化の入った大きな工場といった感想でした。

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工場敷地の奥にあるファクトリーハウス(旧木材乾燥室)には人気の木材であるハカや、流通数が多くない杢が強く出たハワイアンコア等の銘木が多数保管されているのを見せて頂けました。勿論、フジゲン社製造のギターやウクレレ等も展示されており、60年代の古いものからインレイワークの第一人者ラリー・ロビンソン氏とのコラボギターも飾られておりました。表面板が薄いので、ここに象嵌を施すのは結構骨の折れる作業だなと思わず見入ってしまいました。

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フジゲン社のFL型にくり抜かれたドアの向こうに見える大野工場の敷地。同行のオーストラリア人の旦那さんはフジゲンのギターを所有しており、そのギターが作られた工場を自分の目で見られたととても喜ばれていました。フジゲン工場見学の後には、長野県某所でフルオーダーの打ち合わせ2時間とギター三昧な一日を過ごしたのでした。