国内シューケア製品の雄・コロンブス社の工場見学に参加

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千葉県松戸市に行って参りました。知人と一緒に参加した工場見学がその目的で、今回訪れたのは革靴クリームと言えば名前が必ずあがる国内ブランドの雄・コロンブス社の松戸工場。浅草からほど近い、銀座線・田原町駅の駅前にコロンブス社の本社がデーンと立っているのは知っていましたが、松戸に工場があると全く知らずの状態でJR北松戸の駅を下りたのでした。

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革靴は好きな方で、もうだいぶ前に廃業してしまいましたがタニノクチスチーを気に入り多数買い込み、他ブランドのモノと交代させながら履いていたりします。平日は通勤電車中で、「この車両で靴を磨いている人は1割ぐらいか?  おぉ、本物のジョン・ロブだよ!!」とキョロキョロ見回していたり、週末はベランダに新聞紙を敷いて靴磨きに勤しむのも楽しんでいたりします(鏡面磨きまではしない)。靴を他人に磨いて貰うのは、羽田空港第二ターミナルに入っているコロンブスのお店でのみです。使用している靴ケア用品のーにはブートブラック、M.モウブレィ、ライオン、サフィール等の大手製品をその時の気分で購入しており、特段この会社がという拘りはありません。

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JR松戸駅の西側はは江戸時代に水戸街道の宿場町があった場所で、松戸は江戸近郊の河川水路の発展と共に物流の拠点としても繁栄した場所でした。戦後には東京のベッドタウンの性格を強くし、現在の人口は凡そ50万人を数えるまでに急増。コロンブスの松戸工場が入居しているのは、1960年代に松戸市内に開設された北松戸工業団地の中にありました。

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想像していたより大型な工場建屋でした。工場に加えて、研究開発機能も兼ねた拠点で100人程が勤務をしているのだそうです。明治〜大正と市井の人々の生活の洋風化と共に広がった靴を履く習慣は、その手入れをする品の需要を産むこととなり、当初は舶来品が多かったものの大正末期には靴の手入れ製品も国産化を迎えます。国産初の靴クリーム会社となったライオン靴クリームの製造元は明治四十三年(1910)年に創業。コロンブスに繋がる臼田化学工業所、大正八年(1919)には潤滑油を製造する会社としてコロンブスが創業(コロンブス社で案内を頂いた方に創業時の社名を訊ねたのですが回答は得れずでした)しています。

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靴は革製品ですので乾燥が天敵で、適度な油分が必須です。また、保湿機能を補うために蝋(ワックス)も求められる少し厄介な素材だったりします。その為に通称・靴クリームと呼ばれるモノには主成分として脂分と蝋が入っています。コロンブス社内の見学者用の部屋には多数の動物由来、植物由来の蝋の見本が並べられており、ブラジル北部でのみ採れるヤシ類の高級蝋・カルナバワックスも展示されていました。

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イボタロウ(水蝋)、ミツロウ(蜜蝋)などの虫由来のワックス原料も展示されていました。イタボロウはイタボロウノキに付くカイガラムシの一種で、蝋分は雄の幼虫から採集/加工したものです。置かれていた解説よると中国では唐代から薬として生産がなされていたようで、現在流通しているイボタロウは99%中国にて作られ流通しているものだとか。和室の敷居磨きや、琴の柱の滑りを良くする時に使用する「イボタ」と同じものですね。

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工場内の製造/検査工程は撮影禁止とのことで写真はありません。その代わりにコロンブス建屋の屋上からの眺めを。靴クリームは蝋を主成分として油分、香料等を混ぜて、容器に充填すると製品完成と比較的単純な製造工程でできる製品です。製品の蓋を開けた時に表面が平らに見えるようにと、温めて液状となっているクリームを漏斗で”二度注ぎ”しているのが説明でハイライトされていたのですが、その価値をあまり理解できなかったのは内緒の話し。液体の固体になる時に体積が減るのは普通だと思うのです...

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工場見学の後には靴のお手入れ簡単講座がありました。集まった見学者をみると圧倒的に男性比率が高く、革靴に関しては男性社会のものなのだと改めて実感させられました。考えてみると、自分の妻を含めて靴を靴を磨く姿を1度も見たことがない気がします。コロンブス社が近年販売に力を入れているブートブラック・ブランドのシルバーライン製品と各種ブラシが作業台に置かれており、水性、油性溶剤の二液混合タイプのツーフェイスプラスローションなるものもありました。コロンブスは自社工場を持つ企業なので、材料選定や製造に強みがあり、新ブランドを立ち上げる気概もあるメーカーです。通りいっぺんの製造工程よりも、其方の話しの方が面白そうと感じるも詳しい話しは無しでした。

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体験作業があるとは知らず、この日に自分が履いていたのはパンチングレザーのモノ。そんな人用にと貸し出しをしてくれたのが上の写真に映るストレートチップ(たしか、リーガル)でした。「財布等の革製品があれば磨いてみてください」、との案内の方の言葉に甘えさせていただき、靴と一緒に長く愛用している財布も汚れ落とし→靴クリームでゴシゴシと磨いてみたのでした。お洒落は足元からではなく、"楽"は足元からの方が強いのが現在の時勢ですので、靴磨きに世間の興味を向かせるのは難しいと推測しますが、コロンブス社さんには欧米と今後数多く現れるであろうアジア各国の同業他社にも負けない国産メーカーとして、創業200年を目指して頑張って欲しいものです。