甲府の迎賓館、湯村温泉・常磐ホテルに独りで宿泊しました

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山梨県に仕事で行って参りました。東京の城西地区育ちの自分は、家族で出掛ける言うと交通の便の良い神奈川県か山梨県が多かったのせいか山梨県に馴染みを感じています。甲府で宿泊する時は泊まる場所を此処と決まっている場所があり、今回も湯村の常磐ホテルにやって来たのでした。玄関上部のライトアップされた部分は、取り壊された虎ノ門ホテルオークラの玄関を彷彿とさせるものがあります。

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昭和四年に開業した常磐ホテルは、昭和二十二年の天皇陛下初御行幸を初め、皇族や昭和の文人達の訪れる場所となり「甲府の迎賓館」と呼ばれる地位を築きました。昭和五十一年には山梨県下で初の政府登録国際観光旅館となる輝かしい経緯も持つ和風ホテルです。バブル崩壊後の結婚式や宴会需要の減少と共に業績不振に陥り、最近増えている特別清算を平成三十年におこない再建をしています。現在は創業者一族の方(元オートカー編集長)が経営されています。

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玄関を入ると見える広々としたロビーからは、吹き抜け天井までの大きなガラス越しに広がる日本庭園が視界に入ります。この庭園は世界中の日本庭園ランニング(米国誌)で島根県の足立美術館、京都の桂離宮に次ぐ高い評価を得たことがあり、宿泊する度に早朝の誰もいない庭園の散策を楽しみにしているのでした。

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子供達が産まれて、家族4人で初めて宿泊した時の写真が出てきました。まだ1歳に満たない娘が祖母が編んでくれた手編みの上着を着て、机に掴まり立ちしています。出迎えに迎えてくれたホテルの方が押す荷物カートを息子が奪い賑やかに部屋まで押していた頃で、クルマに長時間乗っていた息子と娘は部屋に着くなりグルグルと走り/歩き回るのが常でした(*Ü*)

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今回宿泊したのは西館(平成四年築)の部屋で、12畳の本間と5畳の次の間がある和室です。広縁もソファーと机が置かれた3畳程、入口から本間までも3畳を足すと21畳と1人では空間を持て余す広さでした。訪れたのは山梨で田植えが初まった頃でまだ寒い時期でした。夏であれば涼しさを感じさせる山水画も寒さと孤独さを余計に感じさせるだけ。布団がポツリ...

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西館ロビー上の渡り廊下には常磐ホテルの歴史と、常磐ホテルでおこなわれた将棋/囲碁のタイトル戦を展示したコーナー「名人への小径」があります。そのタイトル戦がいつも催されている番勝負の間「九重」は、西館から日本庭園を挟んで反対側の離れにあります。

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常磐ホテルの温泉は昭和九年に掘られた、少し温めに感じられる40度の源泉風呂です。広い脱衣場に、広い湯船、狭い露天風呂。宿近くに居城を構えた武田信玄が上田ヶ原の戦い後に湯治をしたと伝わっていることより信玄の隠し湯のひとつに数えられているのだとか。水温が下町の様に暑くないので、小さな子供でも入れるのが良いところです。

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宿泊した部屋は角部屋だったので2面に大きな窓があり、北側には長野県との県境に聳える金峰山、国師岳。西側には南アルプスの山々が見えました。チェックイン時に「富士山が見えるお部屋」と聞いたのですが、窓にへばりついて探せど富士の姿を確認することはできず...

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眼下に見えるは3,000坪の日本庭園。緑の中に浮かぶ屋根が右から貴松亭(昭和天皇がご宿泊)、松風亭(昭和天皇がご宿泊)、九重八雲(タイトル戦開催)です。写真を見直して見ると、貴松亭の後ろには塩山より移築した古民家レストラン「田舎家」も映っているのに気が付きました。緑向こう側に目を向けると創業時は耕作地に囲まれていた言われる常磐ホテルの周辺も完全に宅地化しているのが分かり、ホテル敷地内が別天地となっているかのように感じられます。
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庭園の景観を活かした素晴らしいロビーです。窓から見える木立には、高松宮殿下が昭和二十三年にご宿泊された時に植えられた栗木もあります。平日の宿泊だった為か、大浴場までの早朝散歩で他の宿泊者の誰一人と顔を合わせる事がありませんでした。ロビーに敷かれている敷物の製造元(山形オリエンタルさんか?)を知りたくて受付の従業員に質問をしてみたのですが、分からないとだけの少し残念な回答でした。
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この庭園の象徴となっている欅。文豪・井伏鱒二氏がこの木の下でワイン楽しんでいたエピソードが伝わる大きな木です。映画にもなった井伏鱒二氏の「駅前旅館」は常磐ホテル初代社長よりの話しを題材にしたものらしく、湯村温泉入口に立つこのホテルに氏は好んで訪れられていたのだとか。

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幼い頃の息子を庭園の花梨?の下で撮影した写真です。広い場所があれば何処でも走り回っていた頃で、スグに靴をダメにしてしまいスニーカーを毎月のように新調していました。母親は面倒を見てくれる人、父親は遊んでくれる人だと認識しているらしく、「お母さん要らない、お父さん要る(*^o^*)」と言っては母親を困らせて遊んでいました。

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カミナリの様にジグザグした形の八つ橋が東館と九重の離れを結んでいます。息子が将棋に熱中していた頃であれば将棋番勝負の部屋「九重」に宿泊していただろうなと考えながら、離れの傍を歩いていました。聞いた話しで不確かなのですが、この部屋に宿泊せずとも試合中の宿泊であれば館内では藤井聡太七段にも会えるとか...

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朝食会場は東館の一階「柏の間」が会場でした。庭園に面した落ち着いた雰囲気な場所で、着席前に事前セットされた料理と、その他をハーフバイキング形式で頂きました。初めからお盆に乗っていたお皿に「当館おすすめ 柚子の香きのこみそ」と書かれた物があったのですが、全く同じ容器/品物を他の旅館で頂いた事があり、何やら旅館業の後ろ側を見てしまった思いで残念。

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ロビーで食後に少しゆっくりしてから出発したいところでしたが、この日の打ち合わせが早い時間だったのでアタフタと準備をして出掛ける事に。親の何かの記念日を常磐ホテルに泊まって3世代でお祝いをすべとの考えを温めて続けてはや10年。親も徐々に歳を重ね身軽さがなくなり、子供達は学校や習い事で週末を含めて段々と忙しくなってしまいました。娘がよちよち歩きの時にでも、「週末に甲府へ温泉旅行に行くぞ、付いて来い!!」と強行すれば良かったなと昔の写真を見て考えてしまいました。

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