馬なら日向、刀なら日本刀。火花舞散る鍛刀場を子供と見学

f:id:tmja:20180206183314j:plain

うちの息子が日本刀好きなったのは刀剣乱舞なるゲームの影響からで、鳴狐だ、小烏丸だ、天下五剣だと渋い名称を日々言い始めたのでした。ちょうど刀匠の作業場にお邪魔させて頂ける機会がめぐってきたので、日本刀の制作現場を息子に見せるべく関西日帰り旅行へ出かけてきました。ゲーム出てくるお気に入りセリフ「お寂しゅうございますが すぐ戻ります故 わたくしめと鳴狐をお忘れなく」を、息子が元気に母親に言ってから出発しました!

f:id:tmja:20180206183318j:plain

朝一番のフライトで羽田空港を出発し、最寄りの駅からタクシーに乗って目的地へと向かいます。日本刀の作業場に訪れるのは息子にとって2度目で、最初に訪れたのは東京葛飾区柴又にある日本刀鍛錬道場でした。一番上の写真は日本刀鍛錬道場代表・吉原さんが作製した刀を写真に撮った一枚です。

f:id:tmja:20180206183234j:plain

いきなりですが作業場です。刀鍛冶でも、村の農鍛冶でもそうですが、鍛冶職人は左手で材料たる鉄をシッカリと持ち、右手に握る鉄槌で鉄を鍛えるのが基本です。鍛冶屋の作業場はそのため、道具や機械の配置が右利き前提としてえ左から鞴(ふいご)、火床、金床、水桶の順に並んでいます。

f:id:tmja:20180206183322j:plain

作業場の傍らに展示されていた玉鋼(たまはがね)。現在我々の身の回りにある鉄製品は原料に鉄鉱石を用いたモノが殆どですが、美術品である日本刀製造には古典的な製造方法にならい砂鉄を原料とする鋼が用いられています。

f:id:tmja:20180920134248j:plain

この玉鋼は1年に3回のみ、島根県奥出雲町にある 日立金属敷地内の日刀保たたら(鳥上木炭銑工場)にて毎冬に行われている"たたら操業"にて産出されるのがほぼ全て。1度の操業で砂鉄10トン、木炭12トンを投入して1トンの玉鋼が取り出せるそうで、およそ国内刀匠 x 5本? の量に相当すると日刀保たたらの見学時に聞いた記憶があります。

f:id:tmja:20180206183326j:plain

玉鋼を真っ赤に熱してから薄く叩き伸ばし、水で急速に冷やしたものが上の写真の板状のモノ。この鉄板を適度な大きさに割って、硬い柔らかい等の具合で選別します。それらを2kgほど"テコ棒"に積み重ねた状態(写真左手)で、千数百度にまで熱して一つの塊にしていきます。

f:id:tmja:20180206183209j:plain

折り返し鍛錬の開始です。先程のテコ棒に積み重ねたて熱した塊を再び加熱して→塊を切る→折り曲げを繰り返す作業工程で、不純物除去と炭素料調整をおこなう作業です。折り返し鍛錬と一般的に呼ばれているのは若干の語弊があり、この工程では鋼を鍛える訳ではないのだとか。

f:id:tmja:20180206183225j:plain

f:id:tmja:20180206183229j:plain

左手で操作する鞴で起こされた風が火床届き、真っ赤に燃え上がるの見えます。火は低温時には茶色、高温時の黄金色から白色までと温度によって色味が変化していきます。非接触型温度計等がある現代とは違い、昔から鍛治職人の人達は温度を目で測っていました。

f:id:tmja:20180206183246j:plain

f:id:tmja:20180206183216j:plain

機械式ハンマーで叩くと激しい火花が部屋中に飛び散ります。この火花からも材料の状態が判断でき、真っ直ぐ伸びた流線部分と、その先の火花の咲き方で判断します。火花が大きく見えるので炭素料が多い素材。あまりに火花が豪快に飛び散るので近くにいた息子が驚いて、逃げ出していました。

f:id:tmja:20180206183257j:plain

テコ棒の上に真っ赤な灼熱豆腐。日本刀の肌地は鍛錬作業時に多く決まってしまうと聞きます。鍛治職の方ならば完成した時の姿が見えるのかもしれませんが、自分にはこの灼熱豆腐がどのような地肌や沸・匂となるのかは全く見えず...。

f:id:tmja:20180206183253j:plain

機械式ハンマーが導入される前に用いられていた木槌。実際に手にしてみると軽く10キロはありそうで、これを振り下ろすにはカナリの腕力を要しそうです。息子は持ち上げる事すらできませんでした。お邪魔させて頂いた刀匠の師匠の師匠...は勝海舟宅跡地にあった鍛錬場にいた方なので、その頃まで戻れば流石にモータ駆動のスプリングハンマーはなく、弟子達が木槌を持ち上げて相槌を打っていた筈です。

f:id:tmja:20180206183221j:plain

テーブルの上には刃の付いていない刀も置かれていました。子供にもホンモノだと分かるらしく、ニコニコしながら持っていました。実際発注すると1本あたり諭吉さんが3桁でお出かけされてしまうので、さすがに特注するかとは思い付きで言える額ではありません...。

f:id:tmja:20180206183300j:plain

f:id:tmja:20180206183310j:plain

刀匠宅にお邪魔して真剣のミニ鑑賞会です。刀の茎を握り、刀身の姿を見る息子。左手を刀に添えて刃紋の鑑賞への流れも実に一丁前な姿に見えます。本人はお勉強より実践あるのみ派なので、巻藁での試し斬りをしたいとウズウズしていたようで、後ろで見ていた自分は、お調子者の息子が刀を振り回さないかと心臓が早鐘を打ち鳴らしていました。