JAC2324(但馬→伊丹)濃霧の空港へ翔んで来い、コウノトリ号

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兵庫県北部にある但馬空港。300羽のコウノトリを養育している「コウノトリの里」にちなんだ愛称・コウノトリ空港を持ち、伊丹空港との間に1日2往復の定期便だけが就航している小さな地方空港です。この地域は滅多に訪れない自分はこの地域の気象に疎く、レンタカーを返却しに但馬空港のある山を上る程に霧が濃くなるのを見て、「これは欠航するかもしれない...」と空港に着く寸前で気が付いたのでした。

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レンタカー屋さんにて、「但馬空港は欠航する事が結構あるのですか?」と聞くと、「濃霧の時は(上の写真中央左に映る)電波塔が見えないと危ないけど、現在は見えるから多分だいじょうぶ」との助言に安心するも、「さっきまで見えなかったから、天候は良くなっているよ」とのこと...。JALカウンターで搭乗手続きを行い、欠航時には臨時(救済)バスが大阪まで走る等の説明受けていました。

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空港がどの様な状態かを自分の目で見る為に外に出てみたのでした。「これは、アカン、視程が殆どない...」。この日は伊丹空港でANAに便乗り換えで羽田空港へ向かうチケットを購入していたのですが、JAL→JALであれば伊丹空港から先の便も翌日へ一緒に変更してくれるでしょうが、JAL→ANAの他社便の場合は「お客様がどちらから来られるかは当社では把握できないのでノーショーとなり、改めて航空券の買い直しをお願いします」となるのが濃厚となってきました。

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但馬からの伊丹空港行き便は、伊丹から機体がやって来ないと欠航が確定してしまいます。ターミナルに戻ると他の搭乗者グループが、「伊丹を飛び立った機体が旋回したものの、着陸を諦めて南に向かっている」、「いや、もう一度着陸を挑戦しようとしている」との会話を聞き、着陸する瞬間を見ようと再び外に出たのでした。水色が1回目の挑戦、濃い青色は2回目の挑戦の空港ルートです。

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写真中央に写る地上職員の頭の左上に緑色のライトが小さくあるのが見えますでしょうか? これは固定翼機に必ず取り付けられているライトで右舷灯(緑)。反対側には赤色の左舷灯があります。左手から接近してくる航空機の高音と低音を混ぜた様な接近音が大きくなっていたので、航空機が接近していると分かりましたが、もし無音であったならば何処から飛行機が飛んでいるのか分からなかったと思います。

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その着陸機が目の前を通った瞬間に撮った写真です。緑色は先程触れた右舷灯。その後ろには尾翼に描いた鶴丸を照らすロゴ灯が光っているのが見えています。写真でもボンヤリですが航空機が"いる"のが見て取れるかと思われます。但馬空港は山を切り崩して作った空港なので、周辺には滑走路より標高の高い山がアチラコチラにあります。こんなに視程の悪いなかで、よくぞ着陸してくれたと思ってしまいました。

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着陸を確認して旅客ターミナルに急ぎ足で戻り、荷物検査場を抜けて搭乗待合室へ。ターミナルビル傍に停車した機体後部には翼を広げたコウノトリの姿。漢字で「鸛」とも書かれています。但馬のコウノトリの里で放鳥された本物のコウノトリは遠くは南西・宮古島まで飛んで行ったのが確認されているので、この機体も負けずに日本各地を飛びコウノトリの里・但馬地域の宣伝をしてくれるでしょう。

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さっきまで空港を覆っていた霧は搭乗前には消え去り、双発ターボプロップの機体ATR42が暫し羽を休めていました。機体の側面後方ドアを降ろすと現れる階段を使うのかと思いきや、キチンとした搭乗用スロープが用意されていました。実際にこの機体を運行しているのは鹿児島県下や西日本の離島運行を主にJALグループ内で担っている日本エアコミューター社です。これまで所有していた現ボンバルディア社のDHC-8からATR社の機体へ移行しているところです。

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機内に乗り込み、窓の外に目をやると大きなエンジンと6翅プロペラ。プロペラはエンジンで生み出した出力を如何に効率的に前へ進む推進力へと変えるかを担う重要な部分で、最近の傾向に沿ってかプロペラの枚数を増やして効率を上げているようです。反った形状のプロペラもなかなかの見所です。

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離陸に向けての滑走路上で一呼吸置いて、エンジンを全開に開いて速度を上げて行く時は、機内の静音性の高さを売りにしてる機体でもさすがに大きな音なブゥーンという響きが伝わってきました。路面の凸凹をタイヤが拾う振動も、機体が地面を離れるまで続いていました。

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南仏トゥールーズに組立工場を持つATR社は、日本国内では離島等への短距離路線を主なターゲットとして2,000年代より売り込みを始めました。主要空港間を結ぶ路線と比較しすると、客数も少なく、1,000メートル程と短い滑走路への離着陸性能が求められ、厳しい制限のなかでアレコレと積み重ねられた工夫が随所に施されているところがボーイング/エアバスを代表する中・大機と違った面白さがあります。

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但馬空港を北に出発した機体は順調に高度を稼ぎ、大阪へ向かって行く途中にて気流の荒い場所を何度か通過。手元にあったパンフレットを空いている隣席に試しに置くと、空気の瘤をドスンと乗り越える衝撃で明後日の方角を向いてしまいました。2度目の手に汗握る衝撃で座席の下へと...。

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大坂市上空に至りました。写真中央右下に光り輝いている建物が大阪城です。東南側から大阪の街の上空を飛び越えていくのが伊丹空港着陸の通常コースです。伊丹空港への便は100回以上これ迄に乗っているはずですが、反対側にあたる六甲山側からの着陸は稀らしく、自分も1度きりしか体験した事がありません。

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だいぶブレてしまい見にくい写真になってしまいますが、大阪城から少し伊丹空港に近づき、梅田周辺を通過する時に1枚撮影してみました。100メートル以上の高層ビルが大阪駅周辺に50本は乱立しており、日本で一二を争う高層ビル群が立ち並ぶ地区です。「うめきた」開発を初めとする再開発が目白押しで、その高層ビルの本数も5年で倍になるのではないかと言わんばかりのスピードで進んでいます。

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伊丹空港に到着。しかし、当初乗る予定だった羽田行きの便は既に伊丹空港を出発済...。当初は但馬空港を出発できず、不機嫌な乗客の多い有料代替輸送バスに揺られて新大阪駅に向かい、新幹線で帰る事態を想定していました。なので、無事に伊丹空港まで予定していた便で来れだけでも良かったとする事にしました。天気だけはどうする事もできません。「条件付き運行」で伊丹空港発→但馬空港着陸できず→伊丹空港に出戻りですと、実際に使用した燃料代を含めて航空会社は顧客に1銭も請求できず丸損となってしまいます。但馬空港が濃霧に包まれている時に伊丹空港出発を決断し、2度のアプローチを敢行してくれた航空会社のおかげで伊丹まで来れました。