東京駅丸の内広場にも敷き詰められている稲田石の採掘場・石切山脈へ

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茨城県に行って参りました! 出かけた時に笠間市の採石場・石切山脈に寄り道です。昨年末に整備が終わった東京駅丸の内側広場に敷かれてる白い石の産地が石切山脈から切り出された「稲田石」だと知り、行ってみれば何かしら見られるだろうと安易な考えで向かいました。

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水戸から西に向かうこと30分あまり。国道50号線を走り焼物で有名な笠間の市街地を抜けると、次第に石材店が道の左右に見られるように。JR稲田駅付近の交差点に「石切山脈」と掘られた大きな石が置かれているのを発見し、稲田駅とは反対方向の細い道へと進んで行きました。

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グーグルマップによると此処が石切山脈のはずです。コメント欄に見つけた、株式会社想石で予約すると見学させて貰えるとあったのを頼りに予約もせずに来てしまいました。その株式会社想石の事務所は上の写真奥に映る茶色の建物です。

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敷地内に立つ看板「岩石採取標識」には各種情報が盛り沢山。登録がなぜか最近の平成23年で許可が平成25年、花崗岩674,537トン、露天掘りで火薬の使用が有り、丸に申告地と描かれている場所が、実際に採石を許可されている場所です。

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事務所に顔を出して見学をしたい旨を伝えると、アポなしにも関わらず男性が一人案内をしてくれる事になりました。後で知ることになりましたが、この方はひとつ上の写真(岩石採取標識)の右上に書かれている代表取締役で、株式会社想石の社長をされている御方でした。

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石切山脈は八溝山地の最南端・筑波山塊にあり、筑波山同様に地下深くでマグマが固まってできた深成岩(花崗岩/斑糲岩)によりできています。関東平野の地質図を見てみると、上部の筑波山付近がピンク色となっており花崗岩地帯を表しています。

筑波山近辺は日本三大石材産地のひとつと言われ、筑波山付近で採れる筑波石は硬く、加工がしにくいので天然石のまま庭石等に。真壁等の筑波山近辺で採れる真壁石は加工し易いので灯籠にと石質によって使いわけられているそうです。

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想石社の事務所から歩いてスグ、展望台かた前山採石場の絶景が飛び込んできました。湧き水によりできた大きな池の後ろに、白い屛風の様にに広がった採掘跡。元は真っ白だったはずの岩肌が強い火を当てたのかのように黒く変色してしまっています。

現在はここでの採掘はされておらず、更に山の奥にある奥山採石場で作業がおこなわれているとのこと。目の前の採石場は明治32年より採石が開始しされ、昔は小高い山が2つあったのを120年間掛けて掘り進み、深さ60メートルにまで達しているそうです。

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この採掘場を含む東西8キロ、南北6キロの通称・石切山脈より掘り出された白御影石(花崗岩)は江戸時代から石材として利用されてき、明治22年より本格的に採石・加工が始まりました。大消費地の首都圏に近く、良質な花崗岩を豊富に埋蔵していることから、国会議事堂や、最高裁判所、日本銀行本店、国技館と著名な歴史的建造物にも使用されているのだとこの日初めて知りました。

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案内を受けて池の西側にある高台へ移動中に、石材加工工場の中を含めて色々と見せて頂けました。スパっと切られた石(写真上)を見ると、昔の“石切”は"石を切る"と言うよりは"石を割る"に近いなと感じさせられる切り口の鮮やかさ。昔はノミで矢穴を掘り、楔を打ち込んで割る手法でしたが、現在は石材カッターでガーと切って、番手を何度も交換して磨き加工を加えて墓石等の製品にしている様です。

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池の西側にあたる第二展望台?まで登ってきました。石を加工する会社だけあって稲田石でつくった多種多様なモニュメントが置かれています。展望台の池側は安全を考慮してかキチンと柵が巡らされているのが見えていました。

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稲田石は石英(灰色)と、長石(白色)、黒雲母(黒色)の3種類鉱物から構成され、長石が6割を占める白御影石です。上の写真の石はひとつの石ですが、ツルツルに磨いた面とそうでない面の差が大きいのが分かるかと思い写真を撮ってみました。

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採石場と白い雲が青い鏡面のような池に綺麗に写っていました。案内をして頂いた方曰く、仮面ライダーの特撮シーンやドラマのロケ地にもなり有名になってきたらしく、2017年には3万人を越える人達がこの光景を見に来たそうです。なかには大型バス複数台で来る日もあるのだとか。

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石の切り口を覗いて見たくなり、柵に近づいてみると結構おっかない感じす。足元の岩が割れており、覗き込もうとする瞬間に、崩壊して落下しそうで怖いと感じてました。

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採掘場の見学を無事に終えて、栃木と茨城を結ぶJR水戸線の稲田駅にやって来ました。採石場で案内を頂いた方より、小さいけど稲田石の博物館があると聞いて訪問です。この小さな駅は産出した稲田石の運搬目的で100年以上前の明治30年(1897年)に、貨物列車の駅として開業。その隣りには笠間市が運営する「石の百年館」と名付けられた稲田地区の採石の歴史展示館がありました。

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その展示品で興味を引かれたのがこのカサカサ粘土。関東の焼物として名高い笠間焼にも使用される蛙目粘土は稲田石(花崗岩)が年月を経て風化したものだと展示されていました。花崗岩に含まれる鉱物に磁鉄鉱があり、鉄を造るのに用いる国内の砂鉄/鉄鉱石の産地と重なるとは知っていたものの、花崗岩が焼物の原料でもあったと初めて知りました。

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冒頭で触れた東京駅皇居側にあるた丸の内広場。茨城で切り出された稲田石が一部の隙もなくビシッと敷き詰められています。厚み8センチ(重さ一枚120キロ)の白く鮮やかな石版が幅20メートル x 長さ85メートルに渡り敷かれ、首都・東京の玄関口に気品を加えているかのように映りました。

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その丸の内広場において、外国の大使の新任に当たり天皇陛下に信任状を呈捧する儀式で、儀装馬車が東京駅から皇居へと走り出す場面に出くわしました。クルマに掲げられた国旗から判断してアフリカ・コンゴ共和国の大使の信任状呈捧式のようです。大正2年に製造された御紋章付きの馬車が、真っ白な稲田石を敷き詰めた広場の上を軽快に走っていました。