子供達の夏休み期間中、北海道で養蜂見学をしてきました

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子供達の夏休み。6泊7日の家族旅行中に不思議な木箱群が道路脇スグに置かれているのを度々目にしました。クルマのなかで子供達に「あの木箱のなかには何か入っているかわかるか?」とクイズを出してみるも正解は出ず。毎年必ず体験している苺狩り体験で蜂箱の入口を息子が開けてしまった事が過去あったので、その話しを起点として北海道のメロン/スイカ栽培等で利用したりするんだよと説明を試みるもピンとしないようで失敗したのでした。そんな不思議な木箱の中身を見せて頂くべく、今回は養蜂のメッカ・北海道で養蜂家さんの仕事場にお邪魔してきました。蜜蜂不足が騒がれ、蜜蜂の巣箱の盗難がニュースになるのを見聞きすることがありますので、訪問地の地図などは掲載しないようにしたいと思います。

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沢山の蜂が詰まった蜂箱に近づく前に、上下つなぎの養蜂着へと着替える必要がありました。蜂は数センチと小さいので、ー服の隙間にも入り込んでしまうために、袖口やズボンの裾にシボリがありました。昨今の地球温暖化による影響でか北の大地・北海道であっても日中は30度を超える暑さ。訪れた日は日中35度と北海道が日本全国で一番暑いのではないかという日です。更に長靴と手袋、ネット付き帽子と完全装備は蜂に刺されないためとはいえ、子供だけではなく大人の自分でも少し難儀しました。養蜂なのでこの程度ですが、宇宙服のような白い防護服を着る必要がある蜂の巣駆除作業をする人達はもっと大変なのでしょう...

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沢山並ぶ巣箱のひとつ開けて貰い、なかの様子を近くで見せて頂きました。木枠内側には人工的な色味を感じさせる黄色い六角形が密に並んだ状態となっており、その上に無数のセイヨウミツバチが蠢いていました。蜂蜜の甘さは洋の東西を問わずに古くより知られ、天然の蜂の巣から取り出した古代より近代養蜂にいたるまでは、ほかの養殖と同じく紆余曲折、試行錯誤の繰り返し。暑さに弱く、寒さにも弱い蜜蜂に沢山蜂蜜を作って貰う為に考案されたものに「移動養蜂」があり、適度な外気温と花の蜜を求めて夏は北へ、冬は南へと南北に長い日本を渡り歩く養蜂があります。

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此方のオーナーは寒い時期はヒギャ唄流れる瀬戸内町、暑い時期は北海道へと毎年トラックで大量の巣箱と共に移動されているのだと伺いました。北海道にはニセアカシアの開花時期に来るのですが、温暖化の影響でその時期が早くなっているのだそうです。国内には5千程の養蜂家がおられるそうなのですが、養蜂は周囲に採蜜できる場所が重要となるために”縄張り”があります。良い場所の権利は長く事業を続けている養蜂家が既に占有しており、移動養蜂をしている人は概ね古くから養蜂をされている人が多いのだと思われます。この日にお邪魔した養蜂家の方も二代目で既に30年以上養蜂をされているのだと伺いました。

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写真中央の青丸に写るのが女王蜂のはず(たぶん...)。女王蜂、雄蜂、働き蜂(全て雌)と社会性を持つ蜂社会の頂点に位置付けられる巣一匹だけ存在です。巣箱に数万いるといわれる蜂の内訳は女王蜂が1匹、雄蜂が1割、残り9割全てがは働き蜂となっており、極端なピラミッド型を構成しています。女王蜂は1日に1千もの卵を産むそうで、その数は一月に換算し直すと3万匹にもなります。これが凡そ3年程の寿命を持つ女王蜂を除いて、40日周期程で世代交代を繰り返し続けて"社会"を維持し続けるのだと言われると、人間の視点からすると奇異な世界に思えてなりません。ただし、人間社会との共通性もあるようで、優秀な働き手もいれば、サボリ専門のぐうたら蜂もおり、その比率はおよそ優秀な蜂2:普通な蜂6:ダメな蜂2ぐらいの割合になっているのだとか...

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生殖のみ担当する女王蜂と繁殖期のみの寿命を持つ雄蜂。そして、生殖以外の全てを受け持つ働き蜂(全て雌)。蜂は全体でひとつの生き物であるかのような社会を持ち、蜜蜂も”年齢”により役割が異なるのだそうです。若い働きバチは安全な巣のなかの仕事を担当し、危険な外での採蜜作業は経験をかさねた中年蜂が担当するのだとか。大量に生まれ、寿命を迎えていく蜂にはDNAに刻まれているプログラムがあるのか、長くない一生を巣のために尽くした後は巣を自ら巣より離れていくのだそうです。巣枠には蓋をされた蜂蜜が満タンとなった巣房が並び、ヘラのような「ハイブツール」でその蓋を剥がすと輝く蜂蜜が流れ出てきました。働き蜂が生涯で集める蜂蜜の量はスプーン一杯とよく言われますが、どれだけの数の蜂達によるの苦労の結晶なのかと考えてしまいます。

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高温多雨な環境で生きてきたニホンミツバチには効かないらしいのですが、乾燥地域で山火事の多い地域を原産とするセイヨウミツバチにたいしては煙燻機による煙攻撃が有効なのだそうです。麻や新聞紙に火を点けてプシュプシュと煙を蜂にかけると、蜂達は山火事と勘違いをして貯め込んだ蜂蜜を抱えて(食べて)脱出する準備をしたり、あたふた右往左往してしまい、人間への攻撃を抑える効果があり養蜂家の三種の神器なのだそうです。集合体恐怖症であれば卒倒しそうな巣箱から取り出された蠢く蜂群を見て、「うわ...」と小さく呟いた娘でしたが、この煙燻機を持たせて頂いてからは蜂がいる所だけでなく、いないところでも意味も無くプシュプシュし続けて突進していくのでした。

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ミツバチの羽音がする中、三密どころではない巣を持ち上げて巣枠からはみ出た巨大ワッフルのような蜜蝋を切って頂いてしまいました。ニホンミツバチの蜜蝋は食用に適さないため国内ではあまり一般的ではないですが、海外ではこの蜜蝋を食用としている国もあるのだそうです。蜜蝋は蜂蜜が自身で分泌する蝋で、液体の蜂蜜を保管する為に使用するので防水性を有しております。その蜜蝋を作るにはナント蜂蜜の10倍の蜜量を要するのだとか!!

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蜂が沢山な状態の巣枠を持たせて頂き記念撮影。蜂蜜が沢山入っているので重く3kgほどと見ためよりもズッシリしたモノでした。蜜源+蜂+天候により蜂蜜の味が決まるのだそうで、この後にアカシアや蝦夷アザミ、大菩提樹等の蜜源の違う蜂蜜の試食をさせて頂きました。国内で消費される蜂蜜の9割は輸入品で、その殆どは世界一の生産量を誇る中国からとなっています。我が家はあまり蜂蜜に拘ったことはないので、おそらく口にしてきたのは輸入品ばかりなのでしょうから、初めての国産蜂蜜と実際に確認できる蜂蜜を味わったのかもしれません。試食中にアカシア蜂蜜や桜蜂蜜などひとつの花の名前が付いた「単花蜂蜜」は、その花から採取した蜜が多いだろうという程度で、厳密には単花ではない場合が多いことや、移動養蜂は各地の農家さんに受粉に使用する蜂箱をレンタルしているなどを教えて頂いたのでした。

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頂いた大きな蜜蝋をクルマに載せて持ち帰り、子供とホットケーキを翌朝作って家族4人で頂きました。巣蜜に近い状態の蜜蝋をギュッと絞ると蜂蜜が垂れ初め、歓声が湧き。できたて熱々ホットケーキと一緒に濃厚なのに甘過ぎない絶妙な味が口内に広がる。巣箱から自身で持ってきたので精製も加糖もなく、濾してすらいない、自身の手で食べる直前に絞っただけの蜂蜜です。蜂蜜は賞味期限が実質ない品なのですが、搾りたては新鮮格別という事にして、(主に子供達が)パクパクとあっという間に平らげてしまいました。蜜蝋もそのまま食べられるということで試してみるも、噛みきれない弾性の強いガムのような食感でした。飲み込めないものの、ガムの様にいつまでも噛んで甘みを楽しめました。