西から東へと雲が次々と通り過ぎていき、突然のスコールような大雨。今回の八丈島訪問の主目的だった八丈富士登山を諦めようかと思うも、他にしたい事もなかったので登山口まで取り敢えず向かってみることしました。八丈富士は古くから崇敬を集める火山島連なる伊豆七島の最高峰です。
出発地点の八丈島歴史民俗資料館から八丈富士7号目にある登山口までクルマで20分程。上向き矢印が「ふれあい牧場」との分岐点、左向き矢印は登山口駐車場、下向き矢印が「お鉢巡り」の開始点です。
登山口へ向かう八丈富士の麓で雨が小降りとなってきました。クルマを走らせている場所は、1万年前に噴火を開始した八丈富士がつくった裾野。「1人だから良いものを、3-4人乗っていたら坂を上がれないぞ、このクルマ」とボヤきながら、レンタカーで借りた古くて非力な軽自動車で駆け上がります。
上向き矢印地点の分岐点です。此処を左に行くと「八丈富士牧野ふれあい牧場」、右に向かうと登山口です。八丈富士は慶長10年(1605年)を最後に噴火はなく、400年を既に経過しています。火山でできた土壌にヒサカキやタブノキ等が多く見られます。
此処が登山口。標高にして550m。この手前にはクルマを6-7台、登山口を入った奥にも3台程クルマを駐車できる場所がありました。先客は2台の品川ナンバー車のみで、レンタカーの「わ」は自分のみでした。
天気を気にし続けていましたが、クルマ停めた時には雨が止んでいたので、自分の装備(防水シューズ+カッパ+非常食少々)でも行けると最終判断をして登山ゲートを通ることを決心。ゲート入口には、サンダル/ヒール不可、この先には水場、トイレ、日陰なしと軽い警告文が緑の門に掲げられていました。
石段だけでなく、その横には造られてから比較的新しいと感じるスロープもありました。このコンクリートスロープが歩くに楽過ぎてしまい、気持ちを鬼にしないと足が勝手に石段からスロープ側に移動してしまうくらい快適に登れてしまいます。
登山路に3ヶ所設置されていた手摺りの1番目に到着。後ろを振り返って見ると八丈島空港に坂下地区、その向こう三原山。雲が早いスピードで流れていたので、上に登ると強い風に晒されそうだと感じました。
この手摺りのある場所で、男女ペア2人が降りて来ました。「こんにちは、先程の突然の雨は大丈夫でしたか?」と声を掛けると、「酷く降られた」との回答。衣類を見るとそこまで濡れている様子がなかったので、下山途中の風で既に乾いた模様でした。
島の北東に位置する神湊漁港(底土港)方面。上から見下ろすと港は溶岩の岩礁をくり抜いて港を造ったのが理解できます。三原山と八丈富士の間の土地に島の7割もの人達が住んでおり、その幅が結構狭いのにも驚きました。
バスタオル+着替えをクルマに置いてあり、下山→三原山麓の温泉へ直行する準備だけはしたものの、雨に降られるのが嫌で早足で登ってきました。2番目の手摺り付近に「石段中間地点 640段 火口まであと半分ガンバレ」と励ましの言葉。此処で標高680m。
空港の全体像です。ひょうたん形のくびれにあたる左右の海が一望できる地点でひと休憩。雲が自分の立つ場所より低い場所を流れており、風もだんだんと強くなってきました。
上部のゲートに達しました。地上で目にした通りに山頂付近は雲に覆われてしまっている模様。このゲートを超えたところの鳥居前で2組目の登山者と遭遇。地元の方らしく、その鳥居は浅間様や三島様ではなく漁業(航海)関係の方がお参りする神社だと教わったりと少し話しをさせて頂きました。
霧に覆われてしまって視程50m未満。登山口からの道はよく整備されており、一本道なので迷う心配がないで安心感があります。
なにか面白い動植物はないかと探しながら登ってはきたものの、多く目にしたのは三浦半島や房総でも見かける「伊豆の島大文字草」ぐらい。冬も近いのであまり多くは望めなさそうでした。
風が常時強い為か、木々の高さも段々と低くなってきました。底土港方面も完全に雲に覆われてしまい、ハッキリとは見ることができなくなってしまいました。3番目の手摺りを越すと上までは、残りあと僅か…。
火口の淵まで到着しました! 登山口ゲートから30分足らず。少々物足りないというのが正直な感想でした。火口の周りを一周するお鉢巡りをするかでも迷い、周囲を少し散策します。
八丈島の観光パンフレットで必ず目にする、お鉢巡りの風景。青い空と海、稜線の内側は緑に埋もれた火口、外側は海に挟まれた細い道を進んで行くとなる筈でしたが生憎の空模様。火口が400mと言うので単純計算で4 x3.14 =1.2km程の道程です。360度の海を見渡す予定が、小雨が降り始めてしまい…
吹き晒し状態で予想通りに風が強く、湿り気を帯びた空気が重く漂っていたので結局断念。八丈富士頂上も火口内の浅間神社(共に徒歩10分程)も諦めてスタコラサッサと山を下る事にしました。上の写真は麓を見下ろしており、若干崩れ初めている石段以外の人工物は見えません。あまりの視程の悪さに、羽田に戻る便が欠航するのではないかと最悪のシナリオが頭を過ぎりました。
霧が一段と深くなった道を辿っていきます。上りが30分だったので、下りは20分程でしょうか? 途中、人の話し声が何処から聞こえたと感じ、辺りを見回すも誰も確認できず。
山を降りるに連れて視界も明るくなってきました。ザーと雨が降り始めたのでカッパを着て黙々と10分程歩くと、最初にくぐった入口ゲートが見えてきました。
訪れた日が曇りだったので、山頂からの展望はいまひとつ。もし晴れ日であったのならば、その展望は素晴らしいはずだと思われたので残念です。次の八丈島訪問は来年夏に家族4人でを考えているものの、妻は八丈富士登頂済なので、山方面に行くとしても三原山になるような気がします。何はともあれ無事に下山できたので良しとして、お祝いに島寿司とビールを求めて出発しました。