寺田本家の田植え会に参加して、早苗餐でカンパイ

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息子と一緒に千葉県に行って参りました。常磐道をつくばジャンクションで圏央道に乗り換え、目的地への最寄インターチェンジ神崎ICで下道へ。最近ではオンラインゲーム「フォートナイト」を友人とネット上で喋りながら遊んでばかりでいる息子ですが、昨年の初夏ではまだ任天堂3DSに夢中になっている時期だったのが写真で分かります。ゲームしか視界に入っていない程に熱中しており、牛久大仏の全高120メートル程度の大きさでは気にもならないようです。

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この日に訪れたのは千葉県神崎町でした。千葉県で最も人口が少ない町・神崎町は空港で有名な成田市の10キロ程北側に位置し、その北側には茨城県との境となる利根川が流れている場所にあります。周囲の肥育な土地と大消費地・江戸へと繋がる水路があることにより、江戸時代には酒・味噌・醤油が盛んに作られていたことに因み「発酵の里」と称しています。その神崎町にある酒造メーカー・寺田本家(赤マル位置)さんが今回の目的地でした。

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寺田本家は延宝年間(1673~81年)創業と300年以上の歴史を持つ酒造メーカーで、近江出身より移住してきたのだとか。煉瓦造りの門柱が立つ正面玄関を通った先が集合場所で、ハキハキと気持ちの良い挨拶をされる方々の出迎えを受けました。以前は原料である米の保管場として使用していたと言う米倉で着替えをおこない、烏骨鶏のいる庭で開始時間を待っていたのでした。

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田植え講座をしているのは現当主である24代目。その奥様である先代の次女と共著で「麹・甘酒・酒粕の発酵ごはん」という本を出版されていたりもします。先々代、先代も婿養子だったそうで、何故だか男の子に恵まれない家系24代目のお子様も女の子のみ。お話しをする機会があったので聞いてみると、昨年より杜氏も兼任する事となったのだとか。その人柄の良さを感じて、寺田本家の代表銘柄「五人娘」と日本一不味い酒と自称される「むすひ」を思わず帰りに購入してしまったのでした。味は個性的で好きな人は好きな味だった...

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子供達は荷台に座って、大人は歩いてと二手に分かれて行動を開始。自分は酒蔵の敷地を出発して、田園風景のなかをテクテクと歩いて行きました。天気も良く、水の入った田んぼ脇を歩くのが心地よいの季節。隣りを歩いていた方との話しのなかで、この酒蔵は自然派思考の人の愛好家が多く、なかには熱狂的なグループもいる等を教えて貰ったのでした。先代の方が有名な人らしいのですが、勉強不足のままで知らずに訪れてしまっていました。

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寺田本家が自社用米を植えている場所は付近に複数あるらしいのですが、自分達が案内を受けたのは二反+一反の合計三反ある田圃でした。江戸時代であれば大人3人が1年に食べる量(450kg)、現代農法を使えば1,800kgの収穫が見込める田んぼの大きさです。体験・田植えを主催した経験が豊富なのかしっかりとした準備と、他地域ではない若者主体の勢いが感じられました。水はこの辺りの地域ですと、利根川の水と地下水を使用しているのかと思われます。

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確認こそしなかったのですが、ひとつ上の写真で田んぼ表面に格子状の跡が残っているのはコロガシ(田植え定規)か筋付け道具を使ったのかと思いました。田圃の左右に人が立ち、ロープを1列づつ動かして目安位置を示していくよりも苗を刺すべき場所が明白で良い方法だと感じられるます。稲を真っ直ぐ植えられるので雑草刈りにも良し。デッキブラシ持って100メートル競走だ、ガガガガ〜!!

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この日に植えたのは在来品種である「神力」と「亀の尾」を2つで、畦畔で仕切られた2つの田んぼに其々植えるとのこと。亀の尾は庄内地方で阿部亀治氏が育成した品種で、コシヒカリのご先祖様。酒米としては一時廃れてしまうも、新潟の久須美酒造が復活させた現在の日本酒を代表する酒米のひとつです。神力は明治期に主要品種だったものの次第に廃れてしまったものを、平成になってから復活させた米種です。自分は神力の苗をこの時に初めて見ました。

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素足に靴下で田圃に足を踏み込むとズボッと沈み、柔らかくも、粘り気感じられる土の具合。寺田本家がこだわりのある酒屋であるとは言っても、さすがに馬を使って丸二日間要して荒起こしたではなく、機械でイッキに拵えたのでしょう。田圃に描かれた交差に合わせて、苗箱から取り出した苗を刺していきました。

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他の方が書かれたブログに息子が登場していました。田んぼの中で手に乗せられる程の小さな亀を掴まえたら、周囲の大人達から「助けたから竜宮城に行けるよ」と囃されていそうだとか。この日の参加者は80人程で、千葉県のみならず関東一円より遠出してきた人達も多かったようです。自分達も東京から参加組でしたし...

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道路脇に並べていた苗箱から田んぼに投げたのでは作業者に届かなくなり、苗箱を持った寺田本家の従業員が畦をエッチラオッチラと進んでいきます。田植えに飽きた息子は苗配布組に早速加わっておりました。田植えをしてい人達の手元に残っている稲苗を見て、無くなる前に投げ渡す”事前サービス”と称しておこなっていました。

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田植えの終わった二反の田圃の眺めです。テキパキとこなしていたからか思ったより早くに田植えが終わりました。泥が纏わりついた両足を水で洗い流して作業はおしまい。ピシッと苗が並んでいるのを見るのは見て気持ちが良いものです。本職の農家の方々も田植え後と、収穫前の黄金色の稲穂が波打つ田圃には見惚れるのだろなと思うのです。

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参加条件に一品持ち寄ることとあったので、律儀にパンを焼いて持参。他の参加者の方々が食べてくれるか心配でしたが、あっという間になくなったので安心して持ってきた皿と風呂敷を下げたのでした。造り酒屋でのですので、もちろん日本酒の無料試飲があり、一升瓶が沢山並んでおりました。田植えが無事に終了したことを祝い、ワイワイとした早苗饗にて寺田本家24代目当主の音頭でカンパイ‼!

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本州では梅雨入りの頃。二十四節季ならば芒種の頃に再び訪れた時の田んぼの様子です。暦に従うならばイネ科の植物が育ち種子ができる頃にあたり、稲もだいぶ大きくなってきており、株も増えてきて、少し葉もしっかりとしてきたように見えました。畦畔も草刈りの後が見えて手入れがなされている田んぼで、収穫まで暫くは草刈りと水の管理が続くのでしょう。秋の稲刈りイベントが楽しみです。