浅草の名物店「風流お好み焼き 染太郎」を子供達と訪れてみる


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コロナ禍が猛威を振るう少し前のこと、東京は台東区・浅草にあるお好み焼き屋「風流お好み焼き 染太郎」さんに家族4人でお邪魔して参りました。浅草の観光名所とも言える染太郎さんは、昭和十二年(1937)創業と国内で現存する最も古いお好み焼き屋として有名なお店です。

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このお店には妻も自分も来店したことはありましたが、子供達ふたりは初めての訪問でした。予約もできるそうなのですが、思い付きで立ち寄ったので寒風吹き荒む冬の空の下で5分程待ってからの入店。染太郎は全て座敷席なので玄関で靴を脱ぎ、ビニールに靴を入れて席へ向かう決まりなっています。週末には行列を成している時も多いので、スグに入れて良かったと胸をなで下ろしたのでした。

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店名の「染太郎」という名前からも推測ができるとおり、林家染丸一門である林家染二郎(本名・崎本貞次郎)氏の芸名に因んでいます。昭和12年に兵役に応集され、3年後の昭和15年に戦傷により亡くなっております。その妻・崎本はる氏が自宅を改造して初めた商売がお好み焼き屋で、芸人や浅草通いの文化人を初めとする多くの人達に慕われた店であったのだそうです。上の写真で崎本はる氏の白黒写真の隣りに飾られている「テッパンに手をつきてヤケドせざりき男もある 昭和二十九年十一月二日 安吾」の色紙は、染太郎に足繁く通った作家・坂口安吾氏のものだとか。

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値段が円表記ではなく、縁と書かれているメニューの中からお好み焼きを何点かと面白いそうなモノを選び、頼んでみました。お好み焼きは天麩羅の"なんちゃって"モノなので、XXXX天と名前が付くも品が沢山あったりします。準備されている生地と具材(上の写真は駿河湾桜えび天)を自分で混ぜ合わせます。西日本と違い基本的に自分で焼くのが東京流。

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熱くなった鉄板に油をひき、混ぜ合わせた具材を高さを揃えつつ円形に広げて3分ほど焼きます。生地の周辺部が半透明になったらクルっと手前に返して暫く待てば焼き上がり。刷毛でソースを塗れば完成!! ソースを塗る前に自分はヘラで浅く切れ目を入れる派なのですが、妻子供は入れない派(T^T)

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外は寒い風が吹いていますが、店内は各卓に設置されている鉄板と囲むワイワイガヤガヤの人達で暖かく。昼間なので周囲でアルコールを仰る人はいないものの、焼いては食べ、焼いては食べと楽しんでいるようでした。我が家のお好み焼き奉行は息子がいつも務め、如何に上手くお好み焼きを回転させるかにチカラを込めています。コテを奪いつつも協力しながら焼くお好み焼きは愉しいものです。

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染太郎の名物メニュー「しゅうまい天」を頼んでみました。こちらは「焼売」のパロディで、細く切った餅で四角い囲いを作り、そこに玉葱、豚肉、ニンニクを混ぜた生地を流し込んだもの。お店の方に手際良く作って頂きました。

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戦前は現在より醤油に近かったソースを模してか、お酢ベースの現代ソースではなく醤油をかけていました。醤油が焼ける匂いが堪りません。これを放射状に切り分けると出来たてシュウマイの完成です。焼売は明治期に横浜で博雅亭が「シウマイ」として製造販売したのが始まりと言われています。染太郎が開店したのはそれから30年以上経っているので、焼売が憧れの食べ物だったからパロディ物としてメニューに加わったというよりは、しゅうまい天は当時のお好み焼き屋では一般的に出されるメニューだったのでないかと、いつもの悪い癖で考えてしまいました。

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染太郎の焼きそばは焼き方が少し独特です。「焼きましょうか?」とお店の方に声を掛けられて、「お願いします」と即答。具材載せてきたステンレスを覆い被せて蒸し焼きに。太麺の深蒸麺、肉、野菜を手馴れた感じで混ぜ炒めてくれました。塩、胡椒、ソースをかけりと、鉄板の熱でソースの匂いが立ち込めて美味しそうです。

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もうひとつの染太郎人気商品「あんこ巻き」。上述の坂口安吾氏はヒロポンと染太郎のあんこ巻きが欠かせなかったと云われる程あんこ巻き好き。クレープの様に薄く焼いた生地に餡子を一列に並べ、クルクルクルと巻き上げると完成。お手軽にできる"デザート"で、アチアチで出来たては( ゚д゚)ンマッ!

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四角いコンクリート建築ばかしとなる浅草でも、お店の外観も内部も昭和感溢れる日本家屋の染太郎さん。鉄板を設えた座卓で頂くお好み焼きは一味違うというものです。味のあると表現される建物自体は移築後70年を経過しており、傾いていて、床がギシギシ鳴るどころか抜けている場所もある程なので、遠くないうちに大幅な手が入れる事になるのでしょう。大人になっても、体験したことを覚えている年頃となった小学生の子供達は「このお店で家族で食事したことを覚えているかな?」と、考えながらお店を出ると、既に入店待つ人達の列ができていました。