聖徳太子建立の寺院宿坊の宿・竹林院群芳園に宿泊(後編)

f:id:tmja:20170929084312j:plain

大和三庭園の群芳園散策の後に待望の夕食を頂きに本館に戻って来ました。ロビーに近い方が大人数を収容できる部屋で、自分が案内を受けた部屋は...。

f:id:tmja:20170929084252j:plain

こちらです!鶴と牡丹の金襖絵に囲まれれ何処かの映画セットかのよう。天鵞絨のマントを羽織った織田信長が座っていてもおかしくない、少し浮世離れした空間にすら見えます。

f:id:tmja:20170929084257j:plain

豊臣秀吉が吉野山での観桜の折に千利休が考案した利休鍋と会席が事前選択でき、会席コースをお願いしていました。鮎やミニ葛鍋が吉野らしいと言ったところでしょうか。

f:id:tmja:20170929084302j:plain

右を見ても、左を見ても、背後にも文字通り黄金に鈍く輝く金襖絵。

f:id:tmja:20170929084306j:plain

途中で天麩羅を挟み、デザートまで頂きました。7時からの食事時間だった為か、給仕していただいた女性が右へ左へと飛ぶかのように働かれていました。

f:id:tmja:20170929084329j:plain

食後には「カモシカの湯」にやってきました。玄関の靴箱にある靴の数から推測して2-30名は宿泊しているはずなのですが、偶然にも他のお客さんを見かけることがありませんでした。宿の人に夜空が素晴らしいと聞き、この後は少し外を歩いて見ました。

f:id:tmja:20170929084334j:plain

建物の更に西側には山しかない場所に建っているので、翌朝の夜明けに窓を開けても鬱蒼と茂る樹木しか見られません。実は前の晩に脱いだスーツを掛けられる場所が見つからず、そのへんに脱ぎ捨てていた状態で布団を敷いて頂いたようで、みっともない醜態を晒してしまいました。

f:id:tmja:20170929084409j:plain

 この宿に以前泊まった事があると思い出したのは、正門横にある木戸でした。チェックイン時に、「おそらく以前にお邪魔したことがあり、早朝に扉をギギーと開けたことが...」と伝えたところ、「間違えなく此処」と言われました。その扉がこちら。

f:id:tmja:20170929084431j:plain

朝風呂で「むささびの湯」に向かう途中で館内を散策してみました。此処は正門のすぐ上で2つの立屋を結ぶ空中回廊。

f:id:tmja:20170929084435j:plain

地上からではよく見えない屋根の上もこの通り、シャチホコが屋根の棟に対でいたりしています。宿の方曰く、「吉野は自然を楽しむところ」の通りに四方を山々に囲まれています。

f:id:tmja:20170929084346j:plain

むささびの湯は昨晩食事を頂いた処の更に奥にありました。縁側に赤い絨毯と明治大正時代の趣き。

f:id:tmja:20170929084351j:plain

朝6時からと書かれていましたが、その時間より前に訪れても入る事ができました。昨晩同様に何方もおらず独占状態です。

f:id:tmja:20170929084356j:plain

昨晩の「かもしかの湯」は室内風呂のみでしたが、「むささびの湯」は露天風呂も楽しめます。

f:id:tmja:20170929084400j:plain

目の前はほぼ崖なのですが、ムササビぐらいしか覗いてくるモノはなさそうな場所でした。開けた空間と独り占めができたのに大満足です。

f:id:tmja:20170929084342j:plain

朝食を頂きに顔を出すと、こちらも指定時間前でもOKと有難い言葉を頂き、昨晩と同じ部屋へ。

f:id:tmja:20170929084439j:plain

f:id:tmja:20170929084443j:plain

f:id:tmja:20170929084450j:plain

昨晩と同じく、威厳ある雰囲気すら感じさせる部屋で朝食を頂きました。襖が拳半分程開いていたので、そこから隣の部屋を見てみると、自分がいる部屋とは違った襖絵があったので部屋毎に違う絵が描かれているようです。

前日に「むささびの湯」に忘れ物をした宿泊客がいたらしく、宿の人達があっちに、こっちにと早朝から賑やかな声が聴こえていました。そのやり取りから、この宿の人達の仲の良さが伝わってき、此処は良い宿なのだと感じられました。

f:id:tmja:20170929084405j:plain

護摩堂と群芳園が見える場所で腰をおろし、ひと休憩中。

f:id:tmja:20170929084422j:plain

8時過ぎから護摩堂前の清掃を始めると聞き、宿泊者以外が入れない静かな時間帯に護摩堂にお邪魔することにしました。玄関に用意されている下駄を履き、その慣れない下駄で飛び石を歩いていきます。

f:id:tmja:20170930064636j:plain

中央には本尊たる不動明王、左右に蔵王権現と役小角が祀られており、手前には護摩壇が設えてあります。九枚笹の紋があったので気になったのですが、宿の方にチェックアウト時に九枚笹の理由を尋ねるのを失念...。

f:id:tmja:20170930064623j:plain

聖徳太子ではないかと言われる坐像もありました。水晶をはめ込んだ玉眼の眼光が厳しい御顔をされていました。

f:id:tmja:20170930065644j:plain

荷物を纏めて宿を出ます。正門で女将さん?と偶然再開し、丁寧な見送りをして頂きました。歴史や美術好きな自分としては、実に満足な時間を竹林院群芳園で過ごさせて頂きました。

f:id:tmja:20170930064706j:plain

上千本からロープウェイ乗り場まで歩きました。もう見る機会もないかと思うところがあり、幾つかの神社仏閣経由して、吉野の象徴にもなっている金峰山の蔵王堂に到着。何かの法会が催されていたのか沢山の僧侶が本堂から出てこられる場面でした。

御本尊の蔵王権現立像は一生に一度拝めるかという秘仏でしたが、本堂の北にある仁王門(国宝)の改修費用捻出のため今年も来年も春に期間限定ながら一般解放中です。

f:id:tmja:20170930064720j:plain

本堂そばにあるお店で葛きりを頂きました。此処は以前は葛専門店ではなかったはずですが、3年程前に現亭主が跡を継ぎ改装したとのこと。若い亭主が葛切りの製造工程を解説付きで見せてくれました。その説明が実に淀みなく、まるでベテランの実演販売を見ているかのようでした。

f:id:tmja:20170930064820j:plain

本葛粉と水分が混ざり合うのは葛が冷めるまでの10分間。つまり、賞味期限10分のご馳走です。こちらがその10分間だけの吉野本葛粉の本葛きり。

f:id:tmja:20170930064841j:plain

吉野神宮でタクシーを拾い、処用を済ませて美吉野橋の袂で降ろして貰いました。私の祖父母はこの辺りでは顔が広いらしく、タクシーの運転手にも「XXXさんのお孫さんですか?」と驚かれたり、上の写真の柳の渡しに案内を頂いた女将さんにも、「XXXさんにはクリスマスにケーキを子供達にと頂いて...」と昔の話しを教えて貰ったりと良い1日が過ごせました。

f:id:tmja:20170930065010j:plain

この河を渡る修験道者を見た事があると母から聞いた事があります。大きな河のない奈良盆地は大河に対する飢えがあり、紀の川(吉野川)は都人の憧れの対象だったらしいです。奈良盆地と吉野域の間に横たわる竜門山地は、名前の通りに河の神たる龍への門となる山々への呼称となっています。

「河蝦鳴く 六田の川の 川柳の ねもころ見れど 飽かぬ川かも」、私の母は、この川沿いの開けた空間を見るのが好きだったと言っていました。その吉野川の流れをしっかり見収めて、一呼吸してから最寄りの六田駅へ向かう事にしました。