東京農業大学の博物館「食と農の博物館」興味深く、無料

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現在では国内唯一の農業専門大学となる東京農業大学。東京と農業と一見相反する響きを持つ言葉が一緒になっているのが今では可笑しく感じてしまいます。地元では「農大」と呼んでいるので東京農大と聞くと、何処の東大だっけかとツッコまれる大学ですが、設立者はかの榎本武揚で100年以上の歴史が有り。農学に関しては「西の京大、東の東大(東京農業大学)」と並び称される名門校です!!  すみません、自分の育った地元なので贔屓して持ち上げてみました…。

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その大学の場所は世田谷区通りに面しており、戦後すぐの1946年に陸軍機甲整備学校跡地に渋谷常磐松より移転して来ました。大学正門までは、最寄りの小田急線経堂駅、東急田園都市線桜新町駅から共に20分はかかる世田谷の奥地、秘境にあります。

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今回の目的地・食と農の博物館は世田谷通りのTSUTAYA裏にあります。鉄骨フレームを露出させた上に石材を被せた独特の外観。芦野石が多用されており、隣の馬事公苑の緑との対比が凄い。博物館前の歩道には隣接する動物園で飼育されているリクガメが偶に散歩する事があり、子供達が「カメさんだ〜、そりぇ、まて〜」とはしゃいで追い駆ける姿を目にすることもあります。

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入口正面には巨大な闘鶏。足元にはナレースワン大王鶏と解説板がありました。ナレースワン大王といえばタイ王国での歴史でも三大大王の1人とも讃えられる大王。農大はタイのタマサート大学ランシットキャンパスに海外事務所を持っているぐらいなので、この巨大な像設立までも、いろいろな背景がありそうです。

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館内に入ると「祝 ご来館200万人」の久寿玉が出迎え。職員の方によると大学付属博物館としては日本一の数字になるそうです。前回館内を訪れたのは4年前で、天皇・皇后陛下が御来館されていた日で、物々しい警備に何がと思って軽く覗いただけ。じっくりと見るのは久しぶりでした。

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入って左手側にはイベントスペースに喫茶スペース「カフェ プチ ラディッシュ」。お土産物コーナーには此処でしか買えないであろう農大グッズが沢山。棚に見える、緑に白抜きでの「東京農業大学」は棟方志功によるものだったりします。

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階段を登る意味。この階段を見ると根津美術館やサントリー美術館を彷彿とさせられます。階段の下に展示されている木材で1番大きいものは直径2.4mに屋久杉。その樹齢は驚きの1,200年と案内に書かれていました。

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2階にあがると現われる121匹の鶏の剥製標本。

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続いて、農大卒業生の蔵元から取り寄せた日本酒瓶のディスプレイ。銘柄を眺めると写真手前が北/東日本→写真奥が西/南との順序で並べられている分かります。醸造科を持つ大学は全国で此処だけですので、全国の酒蔵経営者の半数以上がここ農大出身者となっているそうです。

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日本を含む世界各国の酒器も多数展示されており、実に見応えあり。そのなかで自分気に入ったのがコチラ「鶴卵金蒔絵杯」でした。鶴の卵で飲むと長寿を得るという言い伝えから造られ、本物の鶴の卵を半分にカットしています。内側を金に、外側には縁起の良い鶴と松が描かれていました。

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ミニチュアによる酒造りの各工程や古式酒造りの道具がずらりと並び、お酒好きには堪らないなかなか貴重な展示物が並んでいます。

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「村の古民家」と呼ばれる稲作農家の実寸復元モデルもあります。昔の農家は鶏が放し飼いにされ、母屋に繋がる厩では農作業や運搬に使用する牛や馬も飼われていました。人と動物が生活の為に共存していた空間で、昭和30年ぐらいまで日本どこでも見られた景色。自分の父親まではこの様な生活が身近だったのですが、街中で生まれ育った自分には縁遠く、実際には大変だったのでしょうが、この様な空間にはある種の憧れを感じてしまいます。

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1階の大学の歴史展示コーナーには農業の開祖・榎本武揚がロシアから持ち帰った椅子机一式が展示されていました。1874年に駐露特命全権公使となり駐任していた頃のものでしょうか? 

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開催されていた企画展「農民芸術」に展示されていた古蓑も、この様に展示されるとまるでオートクチュールかのような美しさ。

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山に畑を返したり農地を宅地化したりと、我が家でも自分達では既に作物を造らなくなり久しくなりました。11月に訪問した農大の収穫祭で見た若者達は食や農とに関わる未来があるのかと思うと、その未来を眩しいと感じたものです。