最上屋旅館(酒田)- 西廻海運で栄えた酒田市の老舗商人宿に泊まる

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北に鳥海山、南に出羽三山。肥沃な大地を創ってきた最上川が日本海注ぐ河口にある酒田市。江戸時代に開かれた酒田湊は日本海一と言われる程に賑わい、現在でも多くの立派な建物が街中のあちらこちらに見られる酒田の街にやってきました。

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そんな酒田市の繁華街に残る大正時代開業の旅籠「最上屋旅館」に東北旅行の〆としてお邪魔してみました。

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ガラス戸を開けて玄関に入ると白い肌着シャツと短パンと涼しそうな姿の館主が出てこられ、名前を告げると予約した部屋まで案内を頂きました。

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柱は檜、天井は屋久杉、この松の廊下は正目の一枚板と良い木材が惜しみなく投入されております。登録文化財の宿になっていないのは、館主が申告をしないからだけではないかと推測してしまう程立派で趣の感じられる空間です。

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映画のセットのような館内には階段があちらこちらに。階段の先には何部屋かがあるはずですが、この最上屋旅館に幾つの部屋があるのか見当も付きません。

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向かって正面にタイル張りの洗面台、階段の後ろにはお手洗い、柱時計の後ろは風呂場があります。

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脱衣場もよく見ると、頭の上に富士を型どった立派な欄干が飾られていました。

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今回は大正15年築そのままに残した部屋に泊まれる「タイムスリッププラン」で予約をしており、館主に導かれながら階段を3階まで登って行きました。

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急な階段を手摺に捕まりながら3階に到着です。もしスーツケースをような大きな荷物でも持って来ていたら、持ち上げるのは結構大変そうでした。

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宿泊するのは4畳半の部屋が二間続いた「屋根裏部屋」と呼ばれる部屋。

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机の上には日本ボロ宿紀行という本が置かれており、ページを括ると最上屋旅館もカラー写真入りで紹介されていました。

机の上にゲストが利用できるWIFIの利用案内があり、この古い部屋の様に電波の届きにくい部屋でもりようできるようにと館主が中継機を設置しそうです。現代の商人にはネット環境は必須ですので、有難い限りです。

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子供サイズの襖が二間の間にあり、頭をぶつけないように屈みながら通ると隣りに移動できます。

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既に寝具が敷かれていたので、こちらが寝室、窓が多く明かりが入る向こう側が居間という位置付けなのだと理解できました。

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ここの寝室には勿論エアコンはないのですが、写真中央写っているように意図的に襖に穴を開けた状態にして風が通るように工夫がされていました。これが寝た状態で頭の位置近くにあたり、翌朝になって涼しさを感じた理由に気がついた時には「なるほど」と一人納得してしまいました。

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部屋の欄干も凝っています。さながら、骨董市にでも迷い込んだかのように館内の至る所に発見をしてしまうような宿です。

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周辺はビルが建ち並ぶ地区ですので展望は望めず、隣家の瓦屋根が迫っています。チェックイン時には風通しの為にか全ての窓が解放されていました。f:id:tmja:20170829130432j:plain

この部屋は障子を閉めた方が、情緒が感じられる気がしました。丸窓にも銘木が飾られており、その影にも華が感じられるかのよう。

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酒田市は昭和51年に1,700棟以上を焼く大火が発生し、火元の映画館グリーンハウスは最上屋旅館から50m程しかない近さ。この大火により酒田市の防災意識は非常に高いと言われるのが、ここにも表れているようです。

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翌朝には、米と地物の旬の食材に拘った朝食を頂けました。ごはんに半分隠れてしまっていますが塩納豆というものを初めて目にしました。塩納豆は酒田の特産品で、納豆に米麹を加えてダブル発酵の健康食品だとか。

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部屋のある3階より急な階段をゆっくりと片足づつ降ろしてチェックアウトの手続きへ。最上屋旅館は主に商人を相手にしてきた旅籠らしく、知恵を絞って工夫を凝らしてきた跡が随所に感じられました。直近に宿泊した元遊郭の旅館や、元軍用旅館ともまた違った宿の姿を見た感じがして良かったです。

帰京する酒田発→羽田行きの便まで時間があったので、街を歩いてみました。あるお寺さんで新潟県村上市にある寺が必見との推奨を受けたので、ANA便をキャンセルして村上市へ向かう事も頭を過ぎりましたが、この日に帰れる自信が持てなかったので次回の楽しみとする事にしました。