日本国中の鉄道会社が力を合わせて復活した、東武鉄道SL大樹に乗って来ました(後編)

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 東武鉄道のSL大樹に乗りに下今市駅にやってきました。回転台で大樹の姿を間近に堪能し、今度はホームに入線してくるのを背伸びして、首を伸ばして線路の先を凝視して待っていました。この日は1日3往復しているうちのSL大樹3号、午後1時発の便を予約済。平日ですが幼児連れや主婦、台湾からの旅行者等などでホームは賑わっていました。

列車名 下今市 鬼怒川温泉
SL大樹1号 9:02 9:38
SL大樹3号 13:00 13:36
SL大樹5号 16:32 17:08

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ゆっくりと黒い機関車が近づいてくると、カシャカシャカとシャッター音が響きます。この車両は前照灯が左右に配された通称カニ目。1度その名前を耳にしてからは、力強く走る機関車が愉快なカニ顔にしか見えなくなってしまいました。

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煙を吐く機関車に続き青い客車も入線。此の青いボディーに白いラインがはいった車両は昔の客車のイメージそのもの。乗り込む車両はスハフ14 1です。

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車内に入ると青いモケットシートがズラリと。国鉄時代の車両を再現したそうですが、自分にとっては大昔の新幹線みたいに見えました。

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座席はバッタンシート。スイッチを引っ張り体重をかけるとリクライニング、元の姿勢に戻ろうとすると「バッタン」との音と共に座席も戻る簡易リクライニングシートです。体重をかけ続けていないとバッタンしてしまう残念仕様ですが、現在となっては貴重な体験。窓は2列に1枚の割り当で、窓際に申し訳程度の小さなテーブル。

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座席のポケットには沿線案内と車内での楽しみ方が描かれたしおり。観光客で賑わう車内で、車内チャイムにハイケンスのセレナーデが流れてビックリ。自分の聞き間違えでなければ電子音でなく機械式でした!

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熊本で今年乗ったSLがガクンとの衝撃後の出発だったのを思い出し、同じガクン出発だろうと身構えるも、SL大樹は威勢よく汽笛を鳴らした後にのっそりとホームを出発。日光方面は直進するのですが、鬼怒川温泉を目指し、右へ曲がり大谷川を通過中。

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列車内はアテンダントさんが手書き風冊子を配ったり、写真撮影をしたりとテンヤワンヤの大賑わい。東武鉄道としては、車窓をのんびりと眺めるよりはあれもこれもと30分少々の乗車時間に詰め込みたい模様。過剰サービス気味で、落ち着きのない空間は残念に思えました。

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下今市駅から離れて鬼怒川温泉に近付いて行くと、だんだん風景が山間のものにと変わっていきます。処々で傘をさした人が手を振ってくれる姿もありました。

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砥川橋梁に差し掛かる場面です。此処に架かる橋は明治29年(1896年)のイギリス製のトラス橋。100年を経た現在でも現役で使用されており、登録有形文化財にも今年認定されています。東武鉄道はSL大樹を初め、地域一体を鐵道文化の地として推奨していこうという気が満々なの伺えます。

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ハイケンスのメロディが車内に再度流れ、つい先程出発したと思ったばかりなのに到着らしい…。途中で東武ワールドスクウェア駅で僅かに停るものの、あっという間に出発。降車してSLの写真を撮ろうという雰囲気は皆無でした。SL大樹は客車の窓が密閉型とあって、SLの煙も匂いも音もあったのかよく分からず。鬼怒川温泉駅まで瞬間移動したかと感じられるぐらいに、あっという間の乗車でした。

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駅を出たところの広場にも下今市駅で見たと同じ回転台があり、多くのギャラリーに囲まれているようでした。こちらの転車台はJR西日本・三次駅にあったものを移設。自分は急ぎの仕事があり、寒風吹き荒ぶホームでPCを叩きながら横目で見てるだけでした…。

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折り返しのSL大樹4号出発の時刻が近づいてくると、ホームにも人が集まってきます。さて、さて何が始まるのかと眺めていると機関車/車掌車と客車の連結作業のようです。

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シュシュシュシュと小刻みな排気音と一緒に車掌車がゆっくりとバックで迫って来て、「グシュ」という音と同時に連結完了。近くの子供の拍手が呼び水となり、周りにいた人全員で拍手喝采。

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プオーと高い音で汽笛が上がり、ホーム周辺が黒い煙で包まれてしまいました。機械油と石炭の混ざった黒煙の匂い。鬼怒川温泉到着後のおよそ1時間後、もと来た下今市駅へ向かって出発進行!

列車名 鬼怒川温泉 下今市
SL大樹2号 11:08 11:41
SL大樹4号 14:35 15:09
SL大樹6号 18:09 18:43

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下今市駅では見る事ができなかった「お見送り」を鬼怒川温泉駅では写真も撮る事ができました。SL乗車では欠かせない嬉しいひとコマです。

昨年夏には日光を代表するホテル・日光金谷ホテルと中禅寺金谷ホテルを傘下に加え、東京オリンピック前にはリッツカールトン日光を開業する破竹の勢いの東武鉄道。普段縁がない路線なので、しょぼくれた鉄道会社とばかり勝手に思っていたものの、東京スカイツリー開業後の絵図を確り描いていたと知りビックリ。すみません、認識を改めました。

SL大樹も下今市ー鬼怒川温泉間のたった12.4kmの短い区間だけでなく、現在AIZUマウントエクスプレスが走っている東武日光駅-喜多方駅の131kmを疾走する姿を、東武鉄道の勢いで走らせてくれるのを期待したいところです。

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SL大樹が大量の黒煙を出しながら発車。すぐ近くには民家もあり、これはさすがに苦情がくるのではと少し心配になる程にまっ黒。

蒸気機関車が日本全国で走っていた頃は、黒煙まみれは日常茶飯事だったはずです。エアコンはまだ普及しておらず、窓は開けっ放しだったでしょうから、沿線の住民はさぞ恨んでいたろうと思われます。蒸気機関車と言うとノスタルジックなものとして概ね好意的に捉えている人が多い理由は何故なのでしょう? 実物に乗ってみると理解に苦しむところでした。