日本国中の鉄道会社が力を合わせて復活した、東武鉄道SL大樹に乗って来ました(前編)

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東武鉄道が50年ぶりのSL復活を発表したのが2015年の夏。その2年後の2017年8月10日、東武鉄道の線路に再び蒸気機関車が走り初めました。走行区間は下今市駅から鬼怒川温泉駅までの12.4km程とかなり短いものの、日光鬼怒川温泉と有名な観光地抱えるエリアです。

宇都宮で朝からの打ち合わせを終えた後に、 「これから行っても乗れるんじゃない?」という悪魔の囁きを聞き、茶色の木造駅舎へと変貌を遂げた下今市駅にやって来ました。駅名表示が「驛市今下」となっており、入口右手には縁側も見えます。

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人気列車なので座席指定券が買えないと話にならないと心配するものの、東武・宇都宮駅の窓口でアッサリと入手する事が出来てしまいました。下今市ー鬼怒川温泉間の座席指定料金は750円、乗車券247円を足しても997円とSLというアトラクションに乗ると考えればお手軽な料金設定に思えました。

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ホームも昭和レトロ調です。屋根や柱もSLの煙の煤で変色したかのように真っ黒。青い柱用駅名板はホーロー製と見受けられたので、今年の新今市駅改装時に新調されたのでしょうか?

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こちらも最近は見かけなくなった鳥居形の木製駅名板。中央に現在地、左右に両隣りの駅名が配されたスタイルです。最近改装したばかりにも関わらず、駅ナンバリング無視という具合に、昭和鐵道風景を復活させよう言う東武鉄道の意気込みを感じました。

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売店を覗いてみると、沢山のSLグッズが並んでいます。 世界一高いと有名な日光埋蔵金弁当(最高18万円)があれば拝みたいと思いましたが勿論なし。同じく日光鱒鮨本舗謹製の「SL大樹 日光埋蔵金弁当」があったので購入。1,350円とSL大樹版は100分の1価格と庶民の自分にもお求めやすい価格です。

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SL展示室があると言うので、通路両側の東武鉄道のSL復活プロジェクトの説明を横目に進むとします。

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途中で窓から1929年に作られた下今市駅旧跨線橋(有形登録文化財)が見えました。今年7月に登録と東武鉄道がSL大樹運行開始までに盛り上げようとした努力が伺えます。このあたりからは男体山から女峰山までの日光連山が見渡せるはずですが、訪れた日は生憎の天気でで見られずと残念。

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線路を跨ぐ橋を渡り、階段を地上まで降りると転車台広場のゲート。その向こうには、うちの息子なら機関車トーマスの「ソドー整備工場だ」と表現しそうな機関庫も見えてきました。整備工場長のビクターと助手のケビンは勿論いません。

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あちこち覗いていると、鬼怒川温泉駅から戻ってきたSL大樹が、シュ、シュ、シュという排気音と白い煙を吹きながら入線してきました。昨年開催された南栗橋の鉄道祭で見たきりなので、実に1年ぶりのご対面。写真には写っていませんがJR東日本よりの朱色のディーゼル機関車も6両編成の最後尾にいます。

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完全停車前に凄い勢いでの排気。キャブ車を3,000回転ぐらいまで上げて、エンジンキーを切るのと似た光景に自分には見えてしまいました。世界中を探したりすれば、全て電子機器統制の最新型蒸気機関車があったりするのでしょうか?

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停車後には、慌ただしく先頭車の切り離し作業をおこなっていました。C11形207号車と車体横にあります。展示室で貰った資料によると、この機関車は北海道で運行されていたのを東武鉄道が借り受けた蒸気機関車だとか。C11形は1945年から1963年まで東武鉄道を走っていた車両と同型と、子供向け冊子「SL復活運転プロジェクトものがたり」にありました。

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ホームに寂しく残された客車達。JR四国から譲り受けた国鉄14系客車というモデルらしく、単純に引っ張られる客車は国内には現存するのは僅かで、注目を浴びる蒸気機関車より実は貴重なのだとか。

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扇型の車庫で2部屋しかありません。内部は鉄筋の骨組みが見えていますが、表面は長手積みをされた煉瓦で飾られています。

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しかも側面はシースルーとなっていて、中での作業風景が見学できるようになっていました。ここでは蒸気機関車/ディーゼル機関車の日常の保守点検をおこなっています。かつて私鉄の蒸機王国と呼ばれていた東武鉄道は大樹運行あたり、1966年を最後にSL運行をしていなかった為にゼロからの再出発を求められました。

現在もSLを保存運行しているJR北海道、秩父鉄道、大井川鐵道、真岡鐵道の指導/協力のもとに乗務員/整備員の訓練がなされる等など、日本全国の鉄道会社の協力の上で、このSL大樹プロジェクトが成り立っているとを乗車直前に知る事に。このあたりの話しを特別番組で「全国の熱い鉄道マンの思いが…」と流れれば、涙腺が緩んでしまいそうです。

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転車台の前に集まる傘をさした見学者達。この転車台はJR西日本の山陰本線・長門市駅にあったものを移設。

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元JR貨物所有だった車掌車を先頭にバックで転車台に入って来ました。車番がヨ8634と下3桁が東武グループのシンボル・スカイツリーの高さの634mと東武鉄道との縁を感じさせる数字。蒸気機関車に車掌車付きで転車台に乗って来たのは、この車掌車にATSを積んでいるからセットでの運行が求められるそうです。車掌車の後退灯が光りながら近づいて来ます。

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SL大樹が目の前で、この勇姿を堪能しろと言わんばかりにとその姿を見せつけてくれました。この車両は濃霧の多い路線で使用されていたために2つの前照灯を持ち、通称名は「カニ目」。製造から76年を経た年季の入った車両。

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運転手が運転台から半身を乗り出しながら、車庫へとバックで入って行きます。 3つの動輪をデザインした大樹のヘッドマークと雪国・北海道で走っていたにはかなり控えめなスノープロー(雪掻き)。重厚感のある黒光りする車体に、焼き付いた石炭の匂いと真近でみるとやはり迫力を感じさせられます。

実は傘をこの日は持参していなかったので、このあたりで切り上げる事にしてホームで大樹の入線を待つことにしました。

後編へ続く