旅荘 吸霞洞 観鹿荘、1,200年前の東大寺遺構を残す老舗旅館に宿泊してみました

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関西出張の折に、東大寺南大門に続く参道にある老舗旅館「観鹿荘」にお邪魔してみました。自分が小学生の頃に親族旅行で宿泊したきりですので、何十年ぶりと年月経っています。

チェックイン前に周辺を散歩していると、奈良のゆるキャラ・せんとくんが。奈良県出身のうちの祖父曰く、「せんとくんは角の角度が違う」と唸らされるようなコメントをしていたのを、せんとくんを見る度思い出します。

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奥村記念館の展望台に登ってみました。中央左奥が東大寺・南大門。宿泊する観鹿荘は屋根だけ覗いているのが見られました。本日の宿です。

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修学旅行生や外国人旅行者でごった返す表参道。観鹿荘はこの参道の中程にありました。

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周辺には観光客が持っている鹿煎餅がお目当ての鹿がアチコチに。全く人を怖がらないので、自分も何処まで近ずけるか試してみたりしました。

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観鹿荘の入口です。東京庵という隣の食事処が新しくなり、気を抜くと見過ごして南大門まで行ってしまいそうです。ここでインターホンを押して宿泊の旨を告げてから入門。

東京庵の食事処はガラス張りで、趣きのある観鹿荘側を眺められるようになってもいます。この細い通路を歩いている間は、東京庵で食事している観光客に晒しモノになっている気分でした(通路の写真は下の方にあります)。

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観鹿荘の威厳を感じさせる表門。旅館でよく見る宿泊者の札が掛かり、もちろん自分の名前がありました。門をくぐった先に更に門が見えますが、こちらは老門と呼ぶそうで、江戸時代に徳川家が改修をしたらしく三つ葉葵が屋根に入っていました。f:id:tmja:20170728170246j:plain

門をくぐると大きな磐座かと思われる古墳時代の石棺。小砂利に箒目がたてられた素晴らしい前庭でした。

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先程少し見えた老門の向こうには客室の前庭が広がっていました。つい先程まで観光客と鹿の雑踏に紛れていたのが嘘のような空間です。中央奥に少しだけ写っている石塔は国東塔(鎌倉時代?)。 

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意を決して旅館の入り口をくぐります。

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目に飛び込んで来た玄関の板絵は江戸時代のものだとか。「捨身飼虎」でしょうか? 釈迦仏が前世に飢えた虎と7匹の子虎のためにその身体を投げ与えてた話しです。奈良=仏都という考えの刷り込みから想像してみましたので違うかもしれません。

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玄関右手の受付の上に飾られてた迦楼羅の伎楽面。お寺での仮面劇に使われていたであろうお面です。

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和装の女性にラウンジのような場所に案内をされ、此処でチェックインの手続きをしました。上を見ても下を見ても至る所にホトケと鹿ばかり。

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大きなガラス窓から見える前庭にのも2匹の鹿。

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大浴場の位置や入浴時間等の館内の案内を頂きながら、宿泊する「春日野」という部屋に到着。

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襖を開けると六畳と庭に望む広縁の和室でした。雪見障子、床の間の行燈風の照明と旅館でよくある感じです。

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部屋に入りジャケット脱いだりしていると、抹茶とお菓子を運んで来て頂けました。門限の11時より帰りが遅くなる場合には要電話連絡等を確認。

この日のゲストは自分のみらしく、貸切状態だと会話の中で知りました。昨年ファーストクラスの貸切状態を体験しましたが、その時の数倍嬉しかったです。なにせ、他の客を気にせず館内探索ができます!

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広縁より眺める庭の様子。此処にも2匹の鹿を発見。奈良国立博物館を挟んで向こう側ある旅館「江戸三」は本物の鹿が付近を散歩していますが、こちらは塵外の世界のようで鹿も入り込めないようです。

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部屋ある浴室。庭を見ながら入れる大浴場があるので、見るだけで使用しませんでした。

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午後4時過ぎより入浴できると言うので、館内探索も兼ねて大浴場へと向かってみました。臙脂色の柔らかい敷物が敷かれており、大きなガラス戸からは庭の緑。此処歩いているだけで気分が高揚します。

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観鹿荘には3つ風呂があるそうで、大浴場と聞いていたので脱衣場から覗いてみて、あれっと思いました。こちらは建物北側を望むこじんまりとした風呂のようです。

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万葉の湯。他の客がいないと事なので、自分の為に用意されたか思うと贅沢の極みな空間に思えます。緑の向こう側にある東大寺の駐車場からか、参道からか、ひっきりなしに修学旅行生と思しき若い声が聞こえていました。

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浴室からは手入れされた庭と持佛堂。風情が感じられ、小さいながら満足できるお風呂です。

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備え付けのタオルもこの通り、可愛らしい桜と鹿。うちの娘が見たら鹿ちゃん! と言って気に入り、持って帰ると言い出しそうです。

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外で友人と食事をし、門限の11時頃に暗い夜道を歩いていると、ケーンやキャーと言う鹿の鳴き声が聞こえてきます。その辺のお化け屋敷より、生々しい声なので数段怖い思いをしました。

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昼は観光客で賑わっていた参道も夜は誰もおらず。

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昼間と同じくドアのインターホンを鳴らして開けて頂きました。遅くなりスミマセン。

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部屋に戻ると布団が敷かれていました。お酒がだいぶ入っていたので直ぐに寝る事き。

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翌朝は少し早起きして、春日大社の朝拝に参加。宿泊しているのが東大寺前と近いので、観光客も疎らな奈良を楽しみながらの早朝散歩ができました。

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散歩から戻ると、部屋に戻ると朝食の案内。女将さんに連れられて朝食会場にあたる部屋へ向かいます。

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自分1人の為に準備を頂いたかと思うと申し訳ない気分でした。女将さんと少し話すと、観鹿荘は修学旅行生を50年以上前は受け入れていた等の昔の話しを聞くことができました。

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食事をした部屋からも石塔の置かれた庭が見渡せます。仕事の日程で食後直ぐにチェクアウトしなくてはならないのが勿体なく、少なくとも大浴場をもう1度を独り占めする時間が欲しかったです。

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出発前にお願いをして「天平の間」を拝見させて頂きました。天平時代の東大寺の僧侶住居(惣持院)の遺構として現在まで伝わっているのが写真の御柱。

東大寺参道前という場所の良さだけでなく、館内にも随所に歴史が溢れている素晴らしい宿でした。自分が子供の頃にも親族一同で此の柱をグルッと眺めたのを思い出し、自分の人生の伏線をひとつ回収できたような気になりました。