ココ・ファーム・ワイナリー、目の前に広がる斜面45度のブドウ畑

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ワイン好きなゲストが来日していたので、群馬県足利市にあるココファーム・ワイナリーを一緒に訪問しました。足利市ぐらいの距離であれば普段クルマを出すのですが、ココファームの葡萄畑を見ながらワインを楽しみたい思い、駅からタクシー移動中。

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ココ・ファームは過去に何度も訪れており、我が家にも常時何本かあるサポーターの1人だったりします。今回来日したゲストはワイン大好きだと知っていたので、ココ・ファームであれば間違えないと考えて此処にやって来たました。

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タクシーの運転手曰く、ココ・ファームのワイン祭りは最悪との事。飲み過ぎる客が多く、タチが悪いのでワイン祭り期間は故意に休みを取る運転手が多いのだとか...。

そんな事を話しながら進んで行くと、曲がるべき道を過ぎてしまい、ゲストに説明をするためにひと休憩と言ってクルマを降りました。アルファベットでCOCO FARM &WINERYと書かれた矢印が指し示す、山の斜面が不自然になっている場所が今回の目的地。

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鉄道駅から出ているバスであれば、写真左手が最寄りのバス停の場所です。道の反対側には5年前に開園された葡萄畑があり、日本種のマスカット・ベリーAやリースリングが育てられています。家屋の奥には先程見た斜面のある山が少し近ずいて来ました。

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障害者支援施設「こころみ学園」がココ・ファーム・ワイナリーに至る坂道の途中にありました。

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道路を更に上がったところで道路右手に現れる葡萄畑。此処がココ・ファームの有名な葡萄畑です。実物を見ると、誰もが息を飲むような急角度の山の斜面に、頂上に至るまで人の手が入れられているのが理解り圧巻の光景。平均斜度38度、上の方は最大45度。一般的な感覚では30度を越すと、坂道でなく崖に感じると言われています…。

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こちらの白い建物がココ・ファーム・ワイナリーで、ショップ、カフェ、醸造設備が入っています。

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入口から見える葡萄棚には生食のと比べると小ぶりなマスカット・ベリーA。食べても良いと言われたので、一口頂くと甘味と酸味が感じられ普通に美味しいと感じたのですが、スタッフ曰く、ワインにはまだ糖度が足りていない状態だとか…。

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物販スペースの奥にはカフェエリアがあります。

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テラス部分で食事をすると、先程見上げたばかりの葡萄畑の斜面を楽しみにがらワインを傾けられたりします。オーシャンフロントならぬ葡萄畑フロント。この日は「第一楽章」という、急斜面の畑頂上部で育てられたマスカット・ベリーAの赤ワインを2人でお願いしました。

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目の前のの葡萄畑は1958年に中学特殊学級教師・川田昇氏とその生徒が、鋤や鍬を手にして2年を掛けて3ヘクタールの斜面を切り開いたのが始まり。ひとつ上の写真でも葡萄畑の奥に見えるような樹木を、斜面の木々を手作業で1本、1本と切り、山から降ろしていき開墾を始めたそうです。

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生徒の綺麗な手を見た川田昇氏は「この手では、生徒達は生きていけない」と思い、農作業のできる土地を探し始めます。勿論、農地に適した平野部の土地は自分の蓄えでは高くて手が出せず、最終的に辿り着いのが山間にあるこの斜面だったとか。このような話しをゲストに伝えて、「ワインの味に土の香りがしてきたでしょう?」と訊くと、「美味しい土だ」との嬉しい即答をしてくれました。

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訪れた時には斜面下部で育てられているリースリングの収穫が終わった後の様でした。葡萄を植えたのは、野菜等の植物だと雑草と見分けの付かない生徒が誤って抜いてしまうが、流石に木(ぶどう)と草の違いは分かるだろうと考えたから。それに、収穫が美味しい葡萄であれば生徒のヤル気も出るだろうと思ったからだそうです。

葡萄畑の雑草はカビ発生につながり嫌われるのが常にですが、ココファームでは毎週手を入れる必要があるので園生達の仕事なると歓迎されたとか。この物事の捉え方が通常の葡萄園とは違うところがココファームの個性であり、「ストーリー」となるのでないかと思いました。

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1階にある醸造所。ココ・ファームの奇跡の様な「ストーリー」に惹かれて、葡萄栽培責任者・曽我貴彦氏や醸造責任者・ブルース・ガットラブ氏が力添えして、こころみ学園生徒達が素晴らしいワインを製造しています。

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山をくり抜いて造られた貯蔵庫/カーヴがありました。左手の緑の建屋入口には穴の開いた架台があり、ビン内の澱を集めるため3ヶ月以上も朝晩と45度づつボトルをまわす作業を自閉症の生徒達がおこなっているそうです。この作業を経てできたスパークリングワインは2,000年の九州・沖縄サミットに供されました。

作業場を歩いているとこころみ学園生より「こんにちわー」と挨拶をされます。ココファームには山の頂上にて缶を叩いて大きな音を出し、葡萄を狙う野鳥を追い払う仕事を長年続けている園生(現在還暦を越しているそうです)もいると、ガイドツアーで説明がありました。

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中の様子です。訪れたのがワイン醸造季節前の9月ともあり、貯蔵庫が若干寂しい様子。

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此処で醸造されるワインは自社畑以外にも、日本全国の葡萄が使用されています。2008年に開催された洞爺湖サミットでは余市産ツヴァイゲルトで製造した「風のルージュ」が供されていました。

葡萄を栽培して頂いた農家が実感して貰えるようにとラベルには農園名が記載されており、これを近隣住民に配るために、直接ココファームに来て、ダース買いする農家の人もいるそうです。

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妻に手土産にと購入したハーフボトルのセット。「農民ロッソ」と「あしここ」。上部のイラストは葡萄畑を主に荒らす害獣のカラス、イノシシ、ハクビシンだとか。絵の中に入って大人しくして下さいとの願い込められているらしいです。農民ロッソ2015はJAL国際線ビジネスクラスで、あしここ2015はANA国際線ファーストクラスで採用されていると伝えて渡したら素直に喜んでいました。

 この記事の真ん中あたりにある古い写真2枚は、ココファーム入り口に飾られていたモノをを撮影したものです。こころみ学園の今昔写真集には葡萄畑と造り手である園生の姿を沢山見る事ができます。

www.cocoromi.or.jp